アイドルグループCANDY TUNEの村川緋杏が2026年10月3日、2年以上前に受けたレーシックで光に弱くなったことと、もともと光に敏感な体質であることをXで明かしました。

この話をきっかけに、「レーシックより、ふた(黒目の表面の膜をめくる部分)を作らないSMILE Proが一番いいのでは」という声が上がっています。

ただ、新しい手術ほど良い話が先に届くもので、悪い口コミは本当にないのか、何年もたってから困ることはないのか、気になりますよね。

SMILE Proとレーシックの違い

角膜の中の薄い切片を小さな切り口からピンセットで取り出す断面図

SMILE Proは、SMILE(スマイル)という近視の手術を、ZEISS(ツァイス)の新しいレーザー機器で行うものです。

SMILEでは、黒目の表面をおおう透明な膜(角膜)の中に、レーザーで凸レンズの形をした薄い一片を作り、それを数ミリの小さな切り口から取り出して近視を治します。

レーシックが角膜の表面にふた(フラップ)を作ってめくり、その下をレーザーで削るのに対して、SMILEはふたを作らない、ここがいちばんの違い。

レーシックのふたや、手術から何年もたって分かってきた後遺症については「レーシックは眼科医がやらないって本当?後遺症と戻る視力の話」に詳しく書きました。

 

リレックススマイルやスマイルレーシックとも呼ばれ、日本では2023年3月にこの手術が承認されて、日本眼科学会のガイドラインにも加わりました。

その新しい機器が国内で承認されたのは、2024年7月のこと。

新しい機器ではその一片を作るレーザーが片目10秒未満で済み、以前の機器の30秒近くから大きく短くなりました。

照射のあいだは目を器具で吸いつけて固定しているので、その時間が短いぶん、受ける人の負担も軽くなります。

手術は日帰りで、終わって30分ほど休めば帰れるのが一般的。

 

ふたがないから減るずれと乾き

レーシックでは、手術のあとも目を強くぶつけるとふたがずれる心配が残りますが、SMILEにはそのふたがありません。

角膜には目の乾きを感じ取る神経が通っていて、レーシックがふたを作るときにこの神経を広く切ってしまうのに対し、SMILEは切り口が小さいぶん、傷つく神経も少なめ。

海外の研究をまとめた報告(2016年)でも、手術のあとに感じる乾きはレーシックより少ないとされています。

ただ、乾きがまったく出ないわけではなく、SMILEでも手術のあとしばらくは目が乾きます。

 

角膜を取り除く手術であることは同じ

SMILEもレーシックも、角膜の組織を取り除いて近視を治す手術で、目の中に入れたレンズをあとで取り出せるICLと違って、受けたあとで元に戻すことはできません。

取り除く一片は、近視が強いほど厚くなるのが特徴。

ガイドラインでは、手術のあとに残る角膜の層が250マイクロメートル(0.25ミリ)以下になる目は受けられないとされていて、もともとの角膜の厚みがふつう0.5ミリほどなので、近視が強い人ほど余裕は小さくなります。

近視の強さの範囲も手術ごとに決まっていて、レーシックは原則6Dまで、SMILEは近視10D・乱視3Dまでがガイドラインの範囲です(Dは近視の強さの単位で、眼鏡の度数が-6.00なら6D)。

悪い口コミに出てくる乾きと見え方の不満

机の前で目薬をさす女性のイラスト

SMILE Proを受けて「後悔した」とまで書く人は、今のところほとんどいないんです。

ただ、SMILE Proの機器が使えるようになったのは2024年からで、受けた人がまだ少ないぶん、悪い口コミも少ないという面があります。

出てくる不満は、ドライアイ、手術直後の近くの霞み、検査で受けられないと分かること、の3つが目立ちます。

なかでもよく出てくるのはドライアイで、SMILE(Proかどうかは書かれていません)を受けてよかったという人でも、乾きは避けられなかったようです。

SMILE Proを扱う国内の眼科の説明でも、手術のあとの乾きは1〜3か月ほど続くことがあるとされています。

 

手術の直後は近くが霞む

見え方は翌日から大きく変わる一方で、手術の直後は近くが霞むという声もあるんです。

 

検査で受けられないと分かる人も

受けるつもりで病院へ行っても、手術の前の検査で受けられないと分かることも。

角膜拡張と再手術の本当のリスク

SMILEでも、夜に光がにじんで見えるハロー・グレアや、時間がたって近視が少し戻ってくることは起こりえます。

ガイドラインがSMILEの合併症としてあげている中には、角膜の濁りや炎症のほか、手術のあと何年かして角膜が薄く突き出してくる角膜拡張も含まれます。

 

角膜拡張はどれくらい起きるのか

角膜の形を色の地図で映す眼科の検査のイラスト

インドの大きな眼科で6,619眼(眼は目の数)を調べた報告では、SMILEのあとに角膜拡張が起きたのは10眼、割合にして0.15%。

そのうち8眼は、手術の前の検査で角膜の形がぎりぎりだった目で、もともと角膜が弱い素質(角膜が薄く突き出してくる円錐角膜や、その手前の状態)があると起きやすいようです。

別の研究のまとめでは、手術前の検査で危険な素質が見当たらなかった目に限ると、角膜拡張が起きるのはSMILEで10万眼に11眼ほど、レーシックでは10万眼に90眼ほどとされています。

インドの報告は角膜の形がぎりぎりの目まで含めた数字で、2つの研究は調べた目が違うので数字はそろいませんが、素質のある目で起きやすいという点では、どちらも同じです。

 

再手術になる人の割合と方法

近視が少し戻るなどして追加の手術を受けた人は、海外の報告で、手術から1年で2.1%、2年で2.9%でした。

一度取り出した切片は作り直せないため、そのとき同じ目にもう一度SMILEをすることはできず、角膜の表面を削るPRKという別の方法になります。

一度だけ再手術を無料にする保証をつけている眼科もあるので、受ける前に保証の中身を聞いておくと安心です。

40万円台から50万円台の費用は高いのか

SMILE Proは健康保険のきかない自由診療で、眼科が公開している料金は両目でおよそ40万円台から50万円台です。

レーシックは両目で15万円から40万円ほど、ICLは40万円から80万円ほどが多いので、ICLの安いほうと重なるくらいの値段。

コンタクトやケア用品に年5万円かかっている人なら、50万円の手術代はおよそ10年分です。

医療費控除について国税庁がはっきり対象と書いているのは、レーシックの手術代です。

SMILEも視力を回復させるための手術なので対象になると案内する眼科が多いものの、申告する前に税務署へ確かめておくと確実です。

 

海外で安く受けるときの注意

空港でサングラスに手をやりながら飛行機を見る女性のイラスト

日本では受けられる病院がまだ少ないこともあり、韓国なら日本の半額ほどで受けられた、という体験談もあります。

ただ、手術のあとは翌日、1週間後、1か月後と検診が続くので、帰国してからどこで診てもらうかを先に決めておかないと、乾きや光のにじみが出たときに頼れる場所がありません。

SMILE Proが向いている人と向かない人

近視が10D以内で角膜に十分な厚みがあり、レーシックのふたや、レーシックより強い乾きが心配な人には、選ぶ価値のある手術と言えそうです。

反対に、近視がとても強い人や角膜が薄い人は対象から外れることがあり、そのときの候補が、角膜を削らずに目の中にレンズを入れるICLです。

ICLの費用や、レンズを取り出したあとの目がどうなるのかが気になる人は「ICLで後悔する人もいる?受けた人が絶賛する理由と落とし穴」も読んでみてください。

もうひとつ、何年も先の老眼のことも考えておきたいところです。

近視の人は、老眼が来ても眼鏡を外せば手元がよく見えますが、手術で近視を治すとその逃げ道がなくなるので、ガイドラインも、とくに軽い近視の人には手術の前にこの点を説明するよう求めています。

 

ガイドラインでSMILEを受けられないとされているのは、主に次のような人です。

  • 18歳未満の人
  • 円錐角膜(角膜が薄くなって突き出す病気)の人、その疑いがある人
  • 白内障や緑内障(疑いを含む)がある人
  • 重いドライアイの人
  • 角膜移植を受けたことがある人
  • 妊娠中・授乳中の人

このうち円錐角膜や緑内障の疑いは、手術の前の適応検査で初めて分かることも少なくありません。

病院では、次のことを聞いておきたいところです。

  • 自分の近視の強さと角膜の厚みで、SMILEで治しきれるか
  • 乾きやまぶしさが続いたら、どこで診てもらえて費用はかかるのか
  • 近視が戻ったときの再手術(PRK)の費用と保証
  • ICLやレーシックではなく、SMILEをすすめる理由

この記事で参考にした情報と資料

手術を受けられる人と合併症

ドライアイ・角膜拡張・再手術の研究

医療費控除

この記事は医療の専門家が監修したものではないので、手術を受けるかどうかは検査をした眼科医と相談して決め、手術のあとに目の痛みや見えにくさが続くときや、乾きやまぶしさがなかなか良くならないときは、我慢せずに手術を受けた病院へ相談してください。

悪い口コミがまだ少ない手術だからこそ、何年も先の角膜拡張や再手術まで含めて、焦らずに決めていいんですよね。