2026年10月14日の午後、てんちむが自分のXで、プロデュースしていた寝るときに着けるナイトブラ「モテフィット」をめぐる裁判の結果を報告しました。

販売元の会社へ払うよう、一審(最初の裁判)で命じられていた約3億8000万円が、控訴審(判決に納得できずに起こした2回目の裁判)ですべて取り消され、0円になったという中身です。

支払いがゼロになっただけでなく、反対に会社の側がてんちむへお金を払うことになったのですから、ここまできれいにひっくり返るのかと驚いた人も多かったはずです。

そうなると気になるのが、いったいどんな弁護士がついていて、何が逆転の決め手になったのか。

てんちむのプロフィールと経歴

てんちむのXのアイコン画像
引用元:てんちむ公式X(https://x.com/tenchim_1119)
  • 名前=てんちむ(子役時代の名前は橋本甜歌)
  • 生まれ=1993年11月19日・中国の北京市
  • 育ち=栃木県足利市
  • 仕事=YouTuber・タレント
  • 家族=2026年1月に実業家の三崎優太と結婚(3月に発表)・子どもは2人

てんちむは、子どものころからテレビや雑誌に出ていた人なんです。

2016年にYouTubeを始めてからは、雑談やバラエティの動画で人気を集めてきました。

  • 2004年4月 『天才てれびくんMAX』に出演(2007年3月まで)
  • 2006年7月号 『ピチレモン』の専属モデルに(2008年6月号まで)
  • 2016年9月 YouTubeチャンネルを開設
  • 2020年9月 豊胸手術を受けていたことを公表して謝罪
  • 2024年5月 活動の再開を発表

2026年10月10日には第2子の誕生も報告していて、裁判の結果が届いたのは、そのわずか4日後でした。

夫で、「青汁王子」の呼び名で知られる実業家の三崎優太も、判決が伝えられた日にXでこう書いています。

ナイトブラ裁判で争われていたこと

始まりは、販売元の会社(YUIKU株式会社)が売り、てんちむがプロデューサーとして商品の顔になっていたナイトブラ「モテフィット」です。

着けて寝ると胸が大きくなる、いわゆるバストアップをうたう商品でしたが、その顔だった本人が、手術で胸を大きくする豊胸手術を受けていたことが、2020年8月の終わりに、親友だったユーチューバーとの暴露合戦の中で明るみに出ます。

胸が大きくなるのを期待して買った人たちから批判が集まり、大きな騒ぎになりました。

豊胸を伏せたままのプロデュースと返金

てんちむは2020年9月2日の動画で手術を受けていたことを認めて謝り、モテフィットを買った人へ自分のお金で全額を返すと約束します。

法律で決まっていたわけではなく、自分から言い出した返金です。

返金は販売元の会社を通して行うことになり、てんちむは返金のためのお金として、2020年11月の時点で約2億2000万円を会社へ送っていました。

11月の動画では、会社へ返金1件ごとに金額の30%を手数料として渡しているとも説明しています。

購入者への返金は2021年4月に終わり、およそ2万人へ総額3億円を超えるお金が戻されました。

 

ところが、返金のために送った約2億2000万円が本当に返金に使われたのかがはっきりしないとして、てんちむは使い道を明らかにするよう求めて会社を訴えます。

これに対して会社も、豊胸手術のことを知らされないまま商品を売って損をしたとして、その損の埋め合わせ、つまり賠償をてんちむに求める裁判を起こし返しました。

会社がどんな損をいくらと数えたのか、細かい中身は報じられていません。

  • 2021年 てんちむが会社を訴える(返金のために送ったお金の使い道を明らかにしてほしい)
  • その後 会社がてんちむを訴え返す(豊胸を知らされずに売って損をした)
  • 2024年12月 一審の東京地裁=てんちむが負け、会社へ3億8457万円を払う命令
  • 2026年10月 控訴審の東京高裁=てんちむの支払いは0円、会社がてんちむへ約224万円

一審は3億8457万円の支払い命令

一審の東京地裁は会社の言い分を認め、てんちむに約3億8000万円の賠償を命じました。

豊胸手術の事実を会社に伝えないまま商品をプロデュースした責任が、重く見られた形です。

購入者への返金の3億円以上とは別に、さらに4億円近くを払えと言われたことになり、てんちむは判決のあとの動画で、借金を払えないと裁判所に認めてもらう自己破産も「だいぶ視野に入れています」と話していました。

それでも、てんちむが最後に選んだのは、判決に納得できないとして上の裁判所でやり直しを求める控訴でした。

3億8000万円が0円になった理由

控訴審の結果は、2026年10月14日にてんちむ本人がXで報告しました。

一審では会社の言い分が通っていたのに、控訴審では反対にてんちむの言い分が通っています。

控訴審の初日に出た「損益相殺」

控訴審でてんちむ側が持ち出したのが、「損益相殺(そんえきそうさい)」という考え方でした。

損をしたと訴える側が、同じ出来事で得もしていたなら、その得を損から差し引く、という損害賠償の決まりです。

この裁判に当てはめると、損をしたと訴えているのは会社で、その会社はモテフィットが売れたことで大きな利益も得ていた、という形になります。

 

2025年9月10日、東京高裁で開かれた控訴審の1回目の法廷を傍聴した人の投稿によると、裁判長はこの日、会社の側が受け取った利益が損益相殺に当たるのかに問題意識を持っている、と述べています。

一審では、審理が終わったあとにてんちむ側が出した主張は、出すのが遅すぎるとして取り上げられていませんでした。

それが控訴審では、裁判長が損益相殺の主張は遅すぎることにはならないと述べ、正面から審理されることになったんです。

 

1年前から見えていた逆転

この傍聴の投稿を引いて、2025年9月16日にXへ長い投稿を書いたのが、てんちむの元交際相手で、格闘技イベント「ブレイキングダウン」を経営する実業家の溝口勇児です。

一審は会社の利益を差し引かずに損だけを数えたと書き、モテフィットの売り上げのうち、てんちむ本人に入ったお金は2000万円ほどだったとも書いていました。

その投稿にあった「減額どころか、逆転勝訴まで見えてきた」は、1年後にそのとおりの結果になっています。

判決文はまだ公開されていないので、最後の決め手が損益相殺だったと言い切れるのは、判決文が出てからです。

てんちむの弁護士は誰なのか

Xでは「てんちむの弁護士すご」「新しい弁護士がしごできやったんかな」と、弁護士の腕前に驚く声が上がっています。

控訴審でてんちむの代理人を務めたのは、森・濱田松本法律事務所の弁護士たちです。

一審のあとに大手の事務所へ

一審の判決のあと、てんちむは別の弁護士事務所に相談し、引き受けてくれるなら控訴すると、2024年12月の動画で話していました。

2025年5月には東京スポーツが、控訴審の担当が、日本で特に規模の大きい「5大法律事務所」の1つで、700人を超える弁護士を抱える事務所に変わったと報じています。

そして2025年9月の控訴審の1回目の法廷では、ウェブ会議の画面に、てんちむの代理人として森・濱田松本法律事務所の弁護士4人が映っていたと、傍聴した人が書いています。

 

事務所は東京スポーツの取材に対して、依頼人の秘密を守る守秘義務を理由に、個別の案件へのコメントを控えています。

Xで発信している弁護士の1人も、こう書いています。

弁護士でここまで変わるのか

同じ出来事をめぐる裁判で4億円近い支払いが0円になったのですから、弁護士がすごかったと感じるのは自然なことです。

実際、日本の控訴審では、一審の記録に新しい主張や証拠を足して、もう一度争うことができます。

今回の損益相殺のように、何をいちばんの争いどころとして裁判所に示すかを組み立てるのは弁護士で、その組み立て次第で結果が大きく変わります。

 

判断する裁判官も、一審の東京地裁から、控訴審を受け持つ東京高裁の3人へ替わっています。

Xでは、どの裁判官に当たるかで結果が変わる「裁判官ガチャ」を怖がる声も出ていて、同じ事実で4億円近い差がつくのを見れば、そう感じるのも無理はありませんね。

0円が決まるのは上告の期限のあと

0円という数字を見ると、これで全部終わったように思えますが、判決が確定する、つまりもう争えなくなるのは、まだ先です。

会社はまだ最高裁へ上告できる

控訴審の判決に不服があれば、判決文を受け取ってから2週間のうちに、最高裁へもう一度判断を求める上告ができます。

最高裁が取り上げるのは、憲法に反していないか、過去の裁判の判断と食い違っていないか、といった法律の使い方の問題だけで、何があったかを調べ直す場ではありません。

会社が上告するかどうかは、10月14日の時点ではまだ伝えられていません。

上告がなければ、0円が確定するのは、その期限が過ぎてからです。

 

2020年の返金は戻ってこない

勝ったのだから、これまで払ったお金も戻ってくるのでは、と思った人もいるかもしれません。

今回0円になったのは、一審で命じられた約3億8000万円の支払いのほうです。

2020年から2021年にかけて購入者へ返した3億円を超えるお金は、もともと買った人への返金なので、判決で戻ってくるものではありません。

一方、会社がてんちむへ払う約224万円は、てんちむ側が会社に求めていたお金です。

傍聴した人の投稿によると、てんちむ側はこの請求を、一審の6000万円から控訴審では224万円まで減らしていて、その額が認められた形です。

 

「100%悪いと思われるのも癪」の意味

2024年12月、控訴するかどうかを考えていたてんちむが理由として口にしたのは、「勝てると思う」ではなく、「私が100%悪いと思われるのも癪」という言葉でした。

今回の報告も、最初の投稿は結果と、支えてくれた人への感謝を伝えるだけで、相手の会社を責める言葉は入っていません。

そして続く投稿では、「当時の私がファンの皆さまの信頼を裏切ったことは事実です」と書き、今も深く反省していると続けています。

てんちむが5年かけて争ってきたのは、悪かった分を超えて背負わされることへの納得のいかなさで、それを裁判所に届く形にしたのが、損益相殺という主張だったのかもしれませんね。