お名前.comの被害は自己責任と言われる理由|補償される条件を解説
「お名前.com デスクトップクラウド」は、FXの自動売買ソフト(MT4・MT5)を24時間動かすために、GMOインターネットから借りるサーバーです。
自宅のパソコンをつけっぱなしにしなくて済むよう、サーバーの中のMT4・MT5には、口座のIDとパスワードを入れたままログインさせておくのがふつうの使い方。
そのサーバーが不正アクセスを受け、IDとパスワードが抜かれたとみられる口座で勝手に取引されて、お金を失った人が相次いでいます。
ところが、お名前.comの会員規約には、デスクトップクラウドを使って会員に出た損について、GMOは「何ら負わないものとします」と書かれているんです。
不正アクセスで入られたのは、サーバーを貸していたGMOの側なのに、「えっ、自己責任ってこと?」と言いたくなるのは当然ですよね。
でも、規約にそう書いてあるからといって、お金が戻らないと決まったわけではありません。
実際に10月24日、GMOは規約とは別の「特別措置」として、不正な取引で出た損失を補償すると発表しました。
27日の正午すぎには、攻撃者とみられる側が、利用者の個人情報だとするものの一部をネットに載せたとも報じられたところです。
GMOの補償から外れた分(市場の変動による損など)や、GMOが不正な取引と認めなかった分を取り戻せるかどうかは、次の3つで分かれます。
- 個人として契約していたか(法人や仕事として使っていた人は、消費者契約法で守られる範囲がせまい)
- GMOに重い過失があったか(どこから入られたのかという調査の中身しだい)
- 口座のあるFX会社が、約款(取引のルールを書いた契約)を超えて補償すると決めるか
お名前.comまじでやってくれたな、、、海外fxのMT4ログインされて400万ちょいやられた、、、悲しすぎて立ち直れん、、、
聞く筋間違えてるとは思いつつも使ってる海外証券にも一応補填できないか確認中、、、、、はあ、、、、詰んだわ#お名前ドットコム #全損 #詰み #MT4 #海外FX— ハエ🪰 (@sontaku_zero_fx) 2026年10月22日
GMOが決めた補償の中身
10月24日の11時50分、GMOは第4報で、利用者への対応を発表しました。
規約の「何ら負わない」とは別に、「特別措置」として決めたものです。
23日の朝の時点では、GMOのお知らせにも、口座のあるFX会社のお知らせにも、補償の言葉はひとつもありませんでした。
見舞金と損失の補償
- 見舞金=利用中の全員に、被害の有無にかかわらず一律5,000円(損失の補償とは別。案内は10月30日23時59分までにメールで)
- 損失の補償=不正な取引で実際に出た損失(取引の差損・手数料など)
- 対象外=市場の変動による損失、取引で得られたはずの利益、その他の間接的な損害
- 申請の方法・必要書類・受付期間・支払いの時期=11月6日までに、公式サイトと登録のメールアドレスで知らせる
不正な取引にあたるかどうかは、GMOが取引の記録やアクセスの記録で確かめるそうです。
本人確認の書類や、GMOが取引履歴を直接見るための閲覧専用のパスワード(MT4・MT5など)を出すよう求めることもある、と書かれています。
補償の手続きで、それ以外のパスワードや暗証番号をGMOが聞くことはないとのこと。
先に取引所へ相談する
第4報は、口座のあるFX会社など(第4報の言葉では「取引所等」)に、第三者の不正アクセスによる取引だと説明して、取り消しや返金を相談してほしい、というお願いつきです。
そこで返金があった分を差し引いた残りをGMOが払い、FX会社などが返金に応じない場合も、対象の損失はGMOが払うと書かれています。
規約に「何ら負わない」と書いた会社が、自分から「残りは払う」と約束したわけです。
GMOから補償のメールを受信!
これは希望を持てる?— ZEONIC🏴☠️🏮 (@risez540) 2026年10月24日
補償の文面は、口座が国内のFX会社にあるか海外にあるかで分ける書き方はしていません。
25日の夜には熊谷正寿社長もブログで、「一律5,000円のお見舞金で幕引きにするつもりか」という声に「決してそうではありません」と答えていました。
利用料と代わりのサービス
今のサーバーの基盤はそのまま再開せず、別の基盤で動く代わりのサービスへ乗り換えた人は、6か月無料で使えるそうです。
乗り換えない人の契約と利用料の扱いは、10月30日までにメールで知らせるとしています。
利用者が同意しないまま乗り換えさせることはない、とも書かれていました。
規約は口座の損をどこまで払うと書いているか
GMOの補償から外れた分まで求めるとなると、頼りになるのは規約と法律になります。
問題の一文は、お名前.comの会員規約の第14条(デスクトップクラウドの決まり)の、最後の項にあるんです。
サーバーにつないで何をしても、つながらなくなっても、切れても、そこで会員に出た損についてGMOは責任を持たない、と言い切っています。
当社は、ホストへの接続、接続して行った行為及びその結果、又はホストに接続できないこと又は接続が切断されたことその他お名前.com デスクトップクラウドサービスの利用に関して会員に生じる損害等、及び結果については、何ら負わないものとします。
その一方で、GMO自身は2026年10月22日の第2報(2回目のお知らせ)で、サーバーの中にあった口座のIDやパスワードを誰かに抜かれ、悪用されたかもしれないと認めました。
この一文のすぐ後には、「サービス品質保証制度」が当てはまる場合は別、という但し書きが続きます。
ところがこの制度で返ってくるのは月額料金の一部だけで、しかも緊急のメンテナンスや、利用者でない第三者のしわざでサーバーが止まった場合は対象外です。
今回GMOがサーバーを止めたのは、第三者に入られたことを受けた緊急の停止なので、規約にある返金の決まりでさえ、書いてあるとおりに読めば当てはまらないおそれがあるのです。
GMOもこの制度について「本件に伴う取り扱いは、決定次第あらためてお知らせいたします」としていて、利用料が戻るかどうかすら決まっていません。
24日の第4報でも、乗り換えない人の利用料の扱いは、10月30日までに知らせるとしています。
第34条には払う場合が書いてある
それでも同じ規約の第34条(損害賠償)を読むと、GMOが一切払わないとは書いていないんです。
- GMOの責任で24時間以上まったく使えなかったときは、会員の損を賠償する
- 賠償するときの上限は、理由を問わず、原因が起きた月の利用料金1か月分
- GMOに故意か重い過失があったときは、事業者でない会員には、実際に出た通常の損を賠償する
- 事業者として使っている会員には、使えなかったことの損を一切賠償しない
1つ目は〈サーバーが使えなかったとき〉の決まりですが、2つ目と3つ目は理由を問わずにかかるので、今回の口座の損を求めるときにも関わってくるはずです。
第14条で「何ら負わない」と言い切っておきながら、GMOは第34条で、重い過失があれば1か月分ではなく実際の損を払うと自分で書いているわけですね。
GMOの「お名前.com デスクトップクラウド」が盛大にやらかした件
同サービスは「ネット上のパソコンを借りて、FXの自動売買ソフトを24時間動かす」もので、自宅のパソコンをつけっぱなしにする代わりに、借りたパソコンでFX口座にログインして自動売買を続ける仕組み。… pic.twitter.com/rlogHvTq5M— ゼクシィ (@whitezexy) 2026年10月22日
消費者契約法で無効になる規約の一文
第34条のこの例外の背景にあるのが、消費者契約法という法律です。
この法律では、会社と個人が結ぶ契約で、個人に一方的に不利な取り決めは、規約に書いてあっても無効になると決められています。
この法律の第8条で無効になる取り決めは、大きく分けると次の2つ。
- 会社の責任を全部なくす取り決め
- 会社に故意か重い過失があるのに、責任を一部だけに減らす取り決め
第14条の「何ら負わない」は、1つ目の、会社の責任を全部なくす取り決めにそのまま当たります。
つまり、個人で契約していた人に対して、GMOは「規約にそう書いてある」というだけでは支払いを断れないと考えられます。
一方、第34条の「1か月分まで」のほうは、責任を一部に減らすタイプの取り決め。
こちらは重い過失のときは実際の損を払うと自分で書いているので、法律で無効になるとは言いにくいと考えられます。
裏を返せば、GMOの不注意が軽いと判断されたら、賠償は1か月分の利用料までで止まってしまうおそれがあるということ。
だから個人の被害者にとっては、GMOに重い過失があったと言えるかどうかが、いちばんの分かれ目になってきます。
そのうえで賠償を受けるには、GMOの守りに落ち度があったこと、そのせいでIDとパスワードが抜かれたこと、それで損が出たことを示さなければなりません。
法人や仕事として使っていた人は話が別
お名前.comの規約では、会社などの団体や、仕事としてサービスを使う個人を「事業者会員」と呼び、第34条でも別扱いにしているんですね。
こうした会員は消費者契約法の保護を受けられないので、第14条の一文がそのまま通ってしまうことが、ぐっと多くなります。
同じ一文でも、個人の被害者にはほとんど効かない一方で、法人の利用者には重くのしかかってきます。
自分の資産を自分で運用していた個人がどちらに当たるのかは、契約の名義と使い方で変わるので、相談するときに最初に確かめておきたいところです。
GMOの「重い過失」は認められるのか
重い過失(重過失)とは、少し注意すれば防げたことを、ほとんどわざとと言っていいほど放っておいた、という程度の不注意のことです。
セキュリティの手抜きが重い過失とされた判決
2014年の東京地裁の判決では、通販サイトのシステムを作った会社が、よく知られた攻撃(SQLインジェクション=入力欄に命令文をまぎれこませてデータを盗む手口)への基本的な対策をしていなかったことが、重い過失に当たると判断されたのです。
その結果、会社どうしの契約だったのに、賠償する額に上限を設ける取り決めは使えないとされ、作った会社に賠償が命じられています。
システムを作る会社とサーバーを貸す会社で立場は違いますが、預かったものを守る基本の対策を欠いたときに責任の上限が外れる、という考え方は今回にも重ねて考えられそうです。
入られてから全プランを止めるまで
GMOが第2報で出した経緯は、こうです。
- 2026年10月19日=利用者からの問い合わせを受けて調査を始める
- 10月20日=一部のサーバーに不正なプログラムが置かれているのを確認し、新規の申し込みと管理画面を止める
- 10月21日午前4時=全プランのサーバーを順番に止め、第1報を出す
- 10月22日=警察に相談し、第2報で口座のログイン情報が取られた可能性を認める
GMOが調べ始めたきっかけは利用者からの問い合わせで、利用者向けに知らせたのは、その問い合わせから2日後、10月21日の未明でした。
問い合わせを受けた日から利用者に知らせるまで日付で2日空いたことは、重い過失を問うときに、GMOを責める理由の1つにはなりえます。
ただ決め手は、犯人がどこから、いつから入り込んでいたのかで、そこはGMOがセキュリティの専門会社と調べている最中だとして、27日の正午を過ぎても公表されていません。
身代金を求められていたのに無視した、という話も出回っています。
これは大変な事になってる!
別情報では、
お名前.comがハッキングされた
↓
ハッカーが身代金を要求
↓
お名前.comは無視
↓
ハッカーが一部口座で勝手に取引して顧客資金を溶かす
↓
ハッカーが更に脅迫中みたいな状況らしい・・・
ひとまず、お名前.comで取引してた人は取引パスワード変更を! https://t.co/suAyExY1pz
— Trader Kaibe (@K_FLASHES) 2026年10月22日
2026年10月22日の夜には、被害者の1人が、犯人を名乗る〈ハッキングチーム〉からメールが届いたと明かしました。
メールに書かれていた口座の番号と被害額が、自分のものと一致していたそうです。
お名前ドットコムに不正アクセスしたハッキングチームから今さっきメール来ました
今出回ってる脅迫文マジです
私の破綻させられた口座の番号、被害額一致しました#お名前ドットコム #不正アクセス #不正取引 pic.twitter.com/mG9hBatQG6— ゆとにー (@yutoriineet) 2026年10月22日
メールの件名は「お名前.com デスクトップクラウド アカウント破壊について」で、リンクの先の犯人側のページには、こんなことが書かれていました。
- GMOに電話とメールで連絡し、顧客の総資産から見ればごくわずかな金額の支払いを求めた
- 10月21日の昼から何度も連絡したが返事がなく、同じ日の夕方5時から口座の破壊を始めた
- 顧客アカウントの15%、24時間で約66億円相当の口座を破壊し、いまも続けている
- GMOが対話に応じれば止めるが、残高を消したあとは資金の損失以上の被害をもたらす次の段階に移る
どれも犯人側が一方的に書いていることで、66億円(犯人側が「破壊した」と言っている口座の額)という数字は、GMOの発表や報道では確かめられていません。
ただ、連絡があったこと自体は、あとでGMOも認めています。
26日の第7報の経緯の欄に、10月21日に脅迫メールを受け取り、約80億円を求められたと書かれていました。
そうなると、GMOは21日のうちに攻撃者から連絡を受けていたのに、利用者に「口座のログイン情報が取られた可能性がある」と伝えたのは翌22日の第2報だった、ということになります。
規約の上限を外して賠償を求めるときに問われるのは、身代金に応じたかどうかより、GMOが入られる前にどこまで守っていたのかと、気づいてから利用者に知らせるまでの早さです。
侵入の経路やサーバーの記録はGMOと調べている専門会社しか持っていないので、GMOがいつ、どこまで調査結果を公表するかが、被害者が責任を問うための最初の手がかりになります。
口座のあるFX会社に補償を求められるか
お金が消えたのはFX会社の口座なので、FX会社に返してほしいところですよね。
ところがFX会社の約款は、GMOの規約よりさらに会社に有利に書かれています。
パスワードが合っていた注文は客の責任
被害が報告されている国内のFX会社の1つ、外為ファイネストのMT4・MT5の取引約款には、こんな決まりがあります。
- IDとパスワードが登録どおりなら、その取引の責任はすべて客が負う(第10条)
- IDとパスワードの一致を確かめたうえでの取引で出た損は、会社は責任を負わない(第26条)
規約の「何ら負わない」と、約款の「責任はすべて客が負う」。
この2つが、被害者が「自己責任ってこと?」と言われてしまう理由なんです。
FX会社から見れば、今回の注文は、正しいIDとパスワードで入ってきた注文です。
しかも外為ファイネストは、「当社システムから」認証情報や個人情報が漏れた事実は確認されていないとお知らせに書いています。
同じく被害が出ている国内のFXTF(ゴールデンウェイ・ジャパン)も、「当社からの顧客データの漏洩」は確認されていないという立場でした。
ただし、FX会社が何をしても責任がないわけではありません。
約款の「責任を負わない」という決まりも、FX会社の側に落ち度があれば、消費者契約法で同じように争う余地が出てきます。
外為ファイネストの口座で被害に遭った人が公開した取引履歴には、1回で1億円規模の注文が1〜2秒おきに並んでいた例もあり、いつもと違う動きを止める仕組みが働いたのかは、これから問われるところでしょう。
FXTFで不正取り引きされた
254万
返して pic.twitter.com/fV4pTeBdhB— いしもち (@habenariara_) 2026年10月22日
約款を超えて補償した前例
約款に「責任を負わない」とあっても、会社が補償に踏み切った例はあります。
2025年に証券口座の乗っ取りが相次いだときは、約款で責任を負わないとしていた大手の証券会社がそろって補償の方針を打ち出し、楽天証券やSBI証券は被害額の半分を基本に補償すると決めました。
同じGMOグループでも、2026年10月はじめに不正アクセスを受けたアンケートサイトのinfoQで、運営するGMOリサーチ&AIが、勝手に交換されたポイント約287万円分を全額補填するとしています。
23日朝の各社の答え
補償について、各社のお知らせに書かれていたのは次のとおりでした(2026年10月23日朝まで)。
- 外為ファイネスト=今後の対応は協議中で、該当する客には個別に報告する
- OANDA証券(お名前.comのサーバーの利用者にパスワードの変更を求めた国内の会社)=今後の運用などの方針は協議を進めている
- FXTF=補償や損の扱いについての記載はない
- GMOインターネット=補償の記載はなく、利用料の返金も「決定次第あらためて」
このうちGMOは、24日に見舞金と損失の補償を発表しました(この記事の最初の章)。
外為ファイネストのお知らせは、27日の午後に見た時点でも、23日に出た外為ファイネスト自身の2回目のお知らせが最新で、今後の対応は「関係各所と協議中」のままです。
27日には片山さつき金融相が、外為ファイネストやOANDA証券、FXTFを運営するゴールデンウェイ・ジャパンを含むFX業者5社から、「GMO関連と考えられる顧客被害」の報告があったと明かしました(時事通信)。
外為ファイネスト、OANDA証券、FXTFは、どれも国内の会社です。
海外のFX会社の口座で被害に遭った人は、FX会社の側の扱いがその会社の規約しだい。
一方でGMOとの契約は日本の会員規約なので、GMOに対しては、規約と消費者契約法の話がそのまま当てはまります。
訴えるとしたら何が待っているのか
「これは訴訟だね」「弁護士に聞いてみるといい」と、裁判を考える人も出てきています。
お名前.comの不正アクセスの件、これ普通に規模デカすぎるだろ…汗
身に覚えのない取引が入って大きな損失が出たって報告みたけど、海外FXだけじゃなく、国内FX口座でも被害を訴えている人がいるようで、これ最終的にどうなるんだろ。…
— てんそん@FXトレーダー (@tenson_fx) 2026年10月22日
まず、お名前.comの規約の第39条は、このサービスをめぐる争いは、金額に応じて東京簡易裁判所か東京地方裁判所で扱うと決めています。
東京から遠いところに住む被害者にとっては、東京の裁判所で争うことになるだけでも、負担の重い決まりです。
60万円以下の請求なら、原則1回の審理で終わる少額訴訟という手続きもあります。
ただ、訴えられた側が通常の裁判へ移すよう求めればそれまでで、GMOの守りに手抜きがあったかを争うような話には、もともと向いていません。
60万円を超える請求なら、はじめから時間と費用のかかる通常の裁判で争うことになります。
では、被害者がまとめて訴える方法はないのか。
国が認めた消費者団体が、被害者に代わって会社を訴える制度なら、たしかにあります(消費者裁判手続特例法)。
ところがこの制度の対象は契約の中身(今回ならサーバー)に出た損までで、それ以外の財産に出た損は、はじめから外されています。
消えたのはFX会社の口座にあったお金なので、条文を読むかぎり、この制度で取り戻すのは難しいと考えられます。
補償を受けるために今からできること
GMOの補償を受けるにも、それ以上を求めるにも、手元に証拠が残っていなければ何も始まりません。
不安なまま会社の発表を待つより、次の順番で進めておけば、取りこぼしは防げるはずです。
- 1. 口座を守る(パスワードの変更・ポジションの確認)
- 2. 記録を残す
- 3. 警察に相談する
- 4. GMOとFX会社に、補償を求めて伝える
- 5. 利用料の返金は、GMOの発表を待ってから申請する
- 6. 納得がいかなければ、相談先に間に入ってもらう
1. 口座を守る
パスワードは、止まっているサーバーではなく手元のパソコンやスマホを使って、お金が動くところから順に変えていきます。
- FX会社の会員ページ(マイページ)のパスワード
- MT4・MT5の取引用のパスワード(会員ページと別の会社もある)
- 同じパスワードを使い回していたメールやほかのサービス
- お名前.comのアカウントのパスワード
FX会社が2段階認証(ワンタイムパスワード)を用意していれば、あわせて設定しておくと安心です。
ドメインやレンタルサーバーもお名前.comで借りている人には、そちらは大丈夫なのかも気になるところですよね。
お知らせに書かれている範囲と、いま確かめておきたいことは、こちらにあります。
すでにパスワードを変えられていてログインできないときは、自分で何度も試さず、すぐにFX会社へ連絡して口座を止めてもらいましょう。
Xには、犯人側のメールを受けて「パスを変えても無駄」「解約した人にも及んでいる」という声も出ています。
お名前の件でハッカーからメールが届いた方
66億円を破壊
破壊はまだ進行中で解約した人にも及んでいる
パスを変えても無駄恐ろしすぎる…… https://t.co/XqpfLUVL34
— 🌙スピカ@FIRE準備中 (@murataFukk76505) 2026年10月23日
どちらも確かめられた話ではありませんが、ひとつ押さえておきたいのは、お名前.comを解約しても、FX口座のIDとパスワードはそのままだということ。
犯人が使っているのは抜いた口座のIDとパスワードなので、守りになるのはサーバーの解約ではなく、口座のパスワードを変えて2段階認証をかけることのほうです。
サーバーはもう止まっているので、自宅の端末から新しいパスワードに変えれば、犯人が持っている古いパスワードでは入れなくなります。
すでに解約していた人も、サーバーで口座を使っていたなら同じようにパスワードを変えておきたいところです。
それでも不安なら、口座のあるFX会社に連絡して取引を止めてもらえないか相談したり、残っているお金を出金しておいたりする手もあり、実際に残りを全部引き出した被害者もいます。
犯人側から届いたメールは、リンクを開かず、返信もお金の支払いもせずに、消さないまま警察への相談に持っていきましょう。
犯人が利用者にメールを送れている以上、メールアドレスは知られているとみておくほうが安全なので、メールのパスワードも変えておくと安心です。
もしリンクを開いてしまったなら、その端末ではパスワードを入力せず、別の端末から変えるようにしてください。
サーバーが止まって自動売買も止まっているので、身に覚えのないポジション(決済していない取引)が口座に残っていないかも、スマホのアプリなどで確かめておきたいところ。
パスワードをどの順番で変えればいいかは、お名前.comデスクトップクラウドの不正アクセスがヤバすぎる件の最後の章「被害に遭った人と自動売買をしている人が今日やること」が参考になります。
2. 記録を残す
- 取引履歴とログイン履歴の画面(日時・通貨ペア・損益が分かるもの。サーバーは止まっているので、FX会社の会員ページやスマホのアプリから取る)
- 被害の前と後の口座残高
- お名前.comから届いたサーバー停止やお知らせのメール
- お名前.comの契約の名義・プラン・月額料金が分かる画面
契約の名義と料金は、事業者会員に当たるかどうかと、「1か月分」の上限がいくらになるかに関わってくる情報。
個人の名前で契約して、自分のお金を自分で運用していただけなら、規約のいう〈事業として〉には当たらない可能性もあるので、その事情もメモしておくと、相談するときに話が早く進みます。
3. 警察に相談する
GMOも警察に相談していますが、口座で勝手に取引された被害は、被害に遭った本人からも届け出られる仕組みです。
窓口は住んでいる都道府県の警察のサイバー犯罪相談窓口で、警察庁のサイトに一覧とオンラインの受付が載っています。
取引履歴などの記録を持っていくと、話が伝わりやすいでしょう。
4. GMOとFX会社に、補償を求めて伝える
勝手な取引で失ったお金は、GMOと口座のあるFX会社の両方に、「補償を求めたい」とはっきり伝えておきます。
GMOの正式な申請の案内は11月6日までに届く予定なので、今は、被害があったことを先に伝えておく段階です。
書くのは、取引が入った日時、失った金額、お名前.comのサーバーで口座を使っていたこと、の3つ。
電話だけで済ませず、問い合わせフォームやメールのように文字で残る形で送っておくと、あとで「言った・言わない」になりません。
- お名前.com(GMOインターネット)=問い合わせフォーム、または電話03-5456-2560(受付は平日の10〜18時)
- 外為ファイネスト=本件のお問い合わせ先0120-217-033(受付は平日の10〜17時)
- ほかのFX会社(海外の会社も含む)=各社のサポート窓口
サーバーの利用料と、勝手な取引で失ったお金は、別の件として分けて伝えるほうが、相手とのやり取りが混ざらずに済みます。
【拡散希望】お名前.comのVPSを使っていました。
今回の第三者による不正アクセスを受けて、不正な取引をされていました。
額にすると180万ほどマイナス。
お名前.comに今回の補償について問い合わせ中。#お名前ドットコム
#不正アクセス— maymy (@maymye6tn) 2026年10月22日
5. 利用料の返金は発表を待ってから
サーバーが止まっていた期間の利用料が戻るかどうかは、27日の時点でもまだ書かれていません。
24日の第4報で決まったのは、代わりのサービスへ乗り換えた人は6か月無料になることと、乗り換えない人の扱いは10月30日までにメールで知らせることまでです。
規約の返金の制度(サービス品質保証制度)を今回当てはめるかどうかも、GMOが「決定次第あらためてお知らせ」するとしている段階。
当てはまる場合の申請は、GMOの申請書をメールかFAXで送る形で、期限は障害が起きた月の翌月末=今回なら2026年11月30日です。
11月の半ばを過ぎても発表が無ければ、期限に間に合うよう、問い合わせフォームで申請の扱いを確かめておきましょう。
腹が立って、今すぐ解約したくなる人もいるはずです。
ただ規約では、解約できるのは申し込んだ翌月以降の月末で、すでに払った利用料は払い戻されません。
最低利用期間(契約が成立した翌月から数えて3か月後の月末まで)のうちに解約すると、解約手数料までかかってしまうんですね。
返金の扱いが発表される前に慌てて解約すると話がややこしくなりかねないので、解約は問い合わせで扱いを確かめてからでも遅くありません。
6. それでも納得がいかないとき
会社の答えに納得がいかなくても、一人で抱え込む必要はありません。
相手がFX会社かGMOかで、頼れる先が変わってきます。
- FX会社の答えに納得がいかない=まずFX会社の苦情の窓口へ(外為ファイネストはコンプライアンス部)。それでも話がつかなければ、FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター/0120-64-5005)が間に入って話し合いを手伝う
- GMOの答えに納得がいかない=消費者ホットライン188で近くの消費生活センターへ。相談のうえ、間に入ってもらえることもある
- 賠償を求めて争いたい=弁護士へ。同じ被害の人どうしでまとめて頼む手もあり、費用が心配なら法テラス(0570-078374)
FINMACは、外為ファイネストが契約書面で「指定紛争解決機関」として挙げている窓口で、FX会社との揉めごとを裁判の外で話し合うための場所です。
賠償を求められる期間には法律で区切りがあり、不法行為なら損害と相手を知ってから3年、契約にもとづく請求なら知ってから5年。
今日あわてて訴える必要はありませんが、記録だけは今のうちにそろえておくのが、あとで自分を守ることにつながります。
「取り戻せます」という連絡には乗らない
被害が大きい事件のあとには、「被害金を取り戻します」「補償の手続きはこちら」という連絡が必ず出てきます。
パスワードやカードの番号をメールや電話でたずねることはしない、とGMO自身が書いているので、そうした連絡に付いてくるリンクは押さず、公式サイトを自分で開いて確かめてください。
27日の正午すぎには、攻撃者とみられる側が、利用者の個人情報だとするものの一部をネットに載せたと報じられました(共同通信・NHK)。
名前や連絡先を知った誰かが、本人や会社を名乗って近づいてくることも考えておくと安心です。
公開されたページに家族のことまで並んでいた件と、GMOが身代金を払わない理由は、こちらにあります。
公開された個人情報は本物なのか、という声と、確かめに行く前に知っておきたいことはこちらで。
規約には「何ら負わない」と書いてあったのに、24日、GMOは自分から損失の補償を約束しました。
被害を「自己責任」で片づける読み方は、その規約を書いた会社自身の発表で、もう通りにくくなっています。











