2026年の秋土用(あきどよう)は、10月20日から11月6日までの18日間です。

朝晩は冷えるのに昼は汗ばむような日が続いて、なんとなく体が重い、気持ちが追いつかない。

そんな季節の変わり目にあたるこの18日間は、昔から、土を休ませ、体と暮らしを整える時期だとされてきました。

実はこの土用、明治に国の暦が太陽暦へ作り替えられたときも日付だけはしっかり残され、いまも国立天文台が毎年発表している季節の節目です。

暦が変わってから150年以上、それでも大切にされてきた理由を知ると、この18日間がちょっと楽しみになってきます。

しかも今年は、土用が明けた翌日の11月7日が、開運の熊手を売るお祭り・酉の市(とりのいち)の初日「一の酉」とぴったり重なります。

2026年の秋土用カレンダー

今年の秋土用は10月20日(火)に始まり、11月6日(金)に明けます。

翌日の11月7日(土)が立冬(りっとう)で、暦の上ではこの日から冬です。

土用のあいだと、明けた翌日に覚えておきたい日はこの4種類です。

  • 辰(たつ)の日=10月21日(水)・11月2日(月)=「た」のつく食べ物と青い食べ物(背の青い魚など)の日
  • 間日(まび)=10月24日(土)・26日(月)・28日(水)・11月5日(木)=土いじりを控える土用のなかで、土をさわっていい日
  • 秋土用の丑(うし)の日=10月30日(金)=うなぎの日
  • 土用明けの翌日の立冬=11月7日(土)

辰や丑といった十二支は、年だけでなく日にちにも順番に割り当てられていて、同じ十二支の日は12日ごとにめぐってきます(間日は3つの十二支の日をまとめたものなので、2〜4日おきに並びます)。

秋土用の18日間の過ごし方3ステップ。1=10月20日から土を休ませ自分もひと息、2=辰の日の10月21日と11月2日に「た」のつく食べ物と青い魚、3=11月7日の立冬・一の酉で熊手の市へ

うなぎだけじゃない年4回の土用

土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前に、それぞれ18日前後ずつあります。

もとになっているのは、古代中国から伝わった「五行(ごぎょう)」という考え方です。

 

五行では、世の中のものはすべて木・火・土・金・水の5つの要素でできていると考えます。

季節にもこれが当てはめられていて、春は木、夏は火、秋は金、冬は水。

ところが、5つの要素に対して季節は4つしかないので、「土」だけが余ってしまいます。

 

そこで土は、4つの季節それぞれの終わりに少しずつ割り振られました。

それが土用で、もともとは「土旺用事(どおうようじ)」、つまり土の力がいちばん強くはたらく期間という意味の言葉です。

土には、枯れたものを養分に変えて、次の季節の芽を育てる力があるとされます。

そう考えると秋土用は、実りの季節を締めくくって土を休ませ、次の季節に備える期間とも言えます。

稲刈りを終えた田んぼに稲束が干され、夕日が沈む秋の終わりの里山のイラスト

夏の土用だけがこれほど有名になったのは、江戸時代に「丑の日にうなぎを」という売り文句が広まったからだと言われています。

夏に売れずに困っていたうなぎ屋が、江戸の発明家・平賀源内に相談して「本日丑の日」と貼り紙を出したら大繁盛した、という話が有名です(言い出した人には諸説あります)。

ただ「夏痩せにはうなぎ」という考え方そのものはもっと古く、奈良時代の歌集『万葉集』には、歌人の大伴家持(おおとものやかもち)が痩せた知人に「夏痩せに良いというから、うなぎを捕って食べなさい」とからかう歌が残っています。

丑の日は秋土用にもあるので、うなぎ好きなら10月30日に、もう一度うなぎを食べる口実ができます。

秋土用に土いじりを控える言い伝え

土用のあいだは、土の神さまとされる「土公神(どくじん)」が土を守っていると言い伝えられてきました。

そのため、土を掘ったり動かしたりすると神さまの怒りに触れるとされ、昔からこんなことが避けられてきました。

  • 畑を耕す・庭の草むしり
  • 植木の植え替え・穴掘り
  • 家の基礎工事・井戸掘り
  • 葬儀は土用明けまで延ばす

土をさわっていい「間日」

とはいえ、18日間ずっと畑に出られないのでは、農家の人は困ってしまいます。

そこで用意されているのが「間日(まび)」で、この日は土公神が天に上がって留守にしているので、土をさわってもいいとされています。

秋土用の間日は未(ひつじ)・酉(とり)・亥(い)の日で、2026年は10月24日・26日・28日・11月5日の4日です。

ずっと気になっていた鉢植えの植え替えや庭の手入れは、この4日に合わせてすませると、すっきりした気持ちで冬を迎えられます。

 

この間日は、室町時代の公家(朝廷に仕えた貴族)・中院通秀(なかのいんみちひで)の日記にも出てきます。

1485年のある日、「間日というのは暦の専門家は採らない説だけれど、そういう説もある」と書き添えながら、土用の間日だからと垣根を直しているのです。

500年以上前の人も、神さまに気をつかいながら、間日を上手に使っていたんですね。

結婚や契約も避けるべき?

いまは、引っ越しや家の新築に加えて、結婚や契約、転職、旅行も土用は控えたほうがいい、と言われることがあります。

古くからの言い伝えの中心にあるのは、上の一覧の「土を動かさない」ことで、結婚や契約は、古い禁忌の中には入っていません。

引っ越しや家の新築まで控えるように言われるのは、家を建てるときに基礎を掘ったり井戸を掘ったりと、土を動かす作業がついてくるからでしょう。

 

すでに決まっている大事な予定を、無理にずらす必要はありません。

まだ決めていないことなら、土用のあいだにじっくり準備して、立冬から始めると、新しい季節の流れに気持ちよく乗せられます。

150年以上、国の暦に残り続けた土用

土用の言い伝えがここまで長く続いてきたのには、国の暦との関わりもあります。

明治政府は1873年(明治6年)に、月の満ち欠けをもとにした旧暦から太陽暦へ切り替えました。

このとき、暦に細かく書き込まれていた「この日は縁起がいい・悪い」という日ごとの書き込みは、国の暦から外されています。

それでも土用の日付は、彼岸や、茶摘みの目安の八十八夜と並ぶ大切な季節の目印として残され、いまも国立天文台が毎年計算して発表しています。

 

暦が作り替えられても、人は「土用には土を休ませる」を150年以上手放しませんでした。

この時期がちょうど季節の変わり目で、毎年多くの人が体で「そろそろ休もう」と感じてきたからでしょう。

秋土用(10月20日〜11月6日)に控えたいことと、やっておきたいことの比較図。控えたい=土を掘る・家の工事・引っ越し/やっておきたい=衣替え・片づけ・辰の日の食べ物。土をさわるなら間日の10月24日・26日・28日・11月5日

辰の日に食べたい「た」と青い食べ物

秋の土用でとくに大事にされてきたのが、辰(たつ)の日です。

秋土用の辰の日には、「た」のつく食べ物や、青い色の食べ物を食べるといいとされています。

「た」のつく食べ物なら、玉ねぎ・卵・たらこ・タコあたりが手に取りやすいところです。

大根(だいこん)も、濁点を外して「た」の仲間に入れて紹介されることが多い食材です。

青い食べ物は、さんま・さば・いわしのような背の青い魚を指すことが多く、ちょうど秋が旬のものばかり。

 

なぜ辰と青なのかには、「秋の終わりに、ちょうど反対側の季節である春の力を、食べ物で先に取り込んでおく」という説明がよく知られています。

十二支は季節にも割り当てられていて、辰は春の十二支、そして五行では春の色が青だからです。

 

難しく考えなくても、夕飯に大根の煮物とさんまの塩焼きを並べるだけで、秋土用の行事食になります。

さっぱりした焼き魚とやさしい味の煮物は、胃腸をいたわりたいこの時期の体にも合っています。

「魔の18日間」が怖くない理由

秋土用は「魔の18日間」「運気が乱れる期間」と言われることもあります。

そういう言葉を見ると、何かよくないことが起きるのではと身構えてしまいますよね。

 

土用が怖いと言われる理由は、大きく分けるとこの3つです。

  • 土の神さまの怒りに触れる
  • 運気が乱れる・結婚や契約はNG
  • 体調を崩しやすい

1つ目は、平安時代の貴族の日記にも出てくるほど古い言い伝えです。

ただ、そこで言われているのは「土を掘るな」「葬儀は延ばせ」までで、間日という抜け道も、室町時代にはもう語られていました。

2つ目の「運気が乱れる」は、裏を返せば、季節の流れが次へ切り替わる途中だとも受け取れます。

流れが変わる前だからこそ、身の回りを整えておくと次の季節の運を受け取りやすい、と考える人もいます。

結婚や契約は古い禁忌には入っていないので、気になる人だけ立冬に合わせれば十分です。

3つ目は、言い伝えというより季節そのものの話で、寒暖差の大きいこの時期は、夏の疲れが遅れて出てくるころでもあります。

この投稿のように、あえて新しいことや契約を控えて、内省や心の掃除の時間にあてる人もいます。

怖がるためではなく、立ち止まって自分を整える時間として使えば、土用の18日間はぐっと過ごしやすくなります。

 

土用は暦の上で、ひとつの季節のいちばん最後の18日ほどにあたります。

秋土用が明ければ、秋はそこで終わり。

ネットでは「大きな厄が1つ終わる」とも言われますが、それも土用が季節の終わりにあたるからこそです。

秋に抱えてきた疲れやしんどさは、ここでひと区切りにしていいんです。

もしいま、なかなかやる気が出なくても、自分を責めなくて大丈夫です。

季節の変わり目に体と心がまだ慣れていないだけで、土用は、ひと息ついていい18日間なんです。

秋の夜、毛布にくるまって温かい飲み物を手にひと息つく女性のイラスト

立冬の11月7日は一の酉と重なる

土用が明けた翌日の11月7日は、暦の上での冬の始まり、立冬です。

今年はこの日が、11月の酉の日に開かれる酉の市の最初の日「一の酉」と重なります(二の酉は11月19日)。

酉の市は、浅草の鷲(おおとり)神社などで開かれる開運と商売繁盛のお祭りで、縁起物の熊手を買って福をかき集める行事です。

熊手は毎年少しずつ大きなものに買い替えていくと縁起がいい、とも言われていて、今年が初めてなら、手のひらサイズの小さな熊手から始めるのも楽しいですね。

 

土を休ませる18日間が明けた翌朝に、福をかき込む熊手の市が立つ。

今年の暦は、休む季節から、福を呼び込む季節へと、ちょうどバトンが渡る並びになりました。毎年ではない、今年ならではの巡り合わせです。

土用のあいだにやっておきたい開運じたく

福を迎える前に、まずは福が入ってくる場所を空けておきましょう。

  • 玄関と水回りの掃除
  • 使っていない物を手放す
  • お財布のレシートを出して整理
  • 衣替え・寝具を冬用に替える
  • 立冬から始めたいことを書き出す

どれも土をいじらずにできることばかりで、18日間ゆっくり進めても十分間に合います。

 

18日間でしっかり休んで、11月7日は熊手の市へ。

そんな冬の始まり方なら、運のほうから寄ってきてくれそうですね。