2026年9月8日、ザ・リッツ・カールトン日光が新しい回答を出しました。

板野友美さんの撮影は、大浴場の営業時間外に行われたものだった。

そのとき浴場を使っていた一般の客はいなかった。

 

そして、ホテルはもうひとつ書いています。

脱衣所を含めて、撮影を控えてもらう範囲を細かく伝えられていなかった、と。

 

前の日まで、この話は「どちらかが嘘をついている」という形をしていました。

板野さんは許可をもらったと言い、ホテルは出していないと言う。

両方が本当ということにはならないだろう、と思いながらニュースを追いかけていた人は多かったはずです。

 

ところが8日の回答を読むと、どちらの言い分もそのまま成り立ってしまうのです。

館内の撮影は許可した。脱衣所は許可していない。ただ、その線をきちんと伝えていなかった。

 

怒っていた人からすると、はしごを外されたような気持ちになる回答でしょう。

 

先に書いておくと、これで脱衣所を撮ってよかったという話にはなりません。

ただ、この撮影騒動はホテル側の説明のほうが悪かった、という見方もできるようになりました。

 

何がどこまで許されていて、どこで話がねじれてしまったのか。

日付の順に並べていきましょう。


ホテルが「案内が行き届かなかった」と認めた

ことの始まりは2026年9月3日でした。

板野友美さんが家族旅行の動画をYouTubeに公開し、その中に大浴場の脱衣所で撮った場面が入っていました。

ほかのお客さんも使う場所です。

ここで回すのはさすがにまずいのでは、という声が上がりました。

 

9月5日、板野さんはXで謝ったうえで、ホテルから特別に撮影許可をもらっていたと説明しています。

そして9月7日、ホテルが週刊女性PRIMEの取材にこう答えました。

館内全般の撮影許可は下りていた。ただし撮影できる場所に限ってのことで、脱衣所などでは許可を下ろしていない。

 

ここまでが、8日の朝までにわかっていたことでした。

言った、言わない、の形になったまま何日も過ぎていたので、そろそろどちらかが折れるのだろうと見ていた人も多かったと思います。

 

1日で変わったホテルの説明

9月8日、ホテルから追加の回答が届きます。

その前に、7日の回答でもうひとつ気になる言い方がありました。

撮ることができない場所のことを、「一般常識でも法律でも」と書いていたところです。

 

そして8日はこうです。

脱衣所を含む、撮影をお控えいただくべき範囲について細かくお伝えできておりませんでした

 

7日の書き方だと、線を越えたのは常識のなかった相手。

8日の書き方だと、線を伝えなかったのはホテル自身。

同じ出来事の説明が、1日で向きを変えているのです。

撮影協力、という言い方も8日になって出てきました。

ただ撮ってもいいですよと言われたのではなく、ホテルの側も一緒に段取りを組む立場だった、という意味です。

 

どこまでが協力の範囲だったのか。

そこを決めておくのは、泊まる客ではなく宿の仕事でしょう。


撮影は大浴場の営業時間外に行われていた

追加回答でいちばん大きかったのは、こちらの一文でしょう。

当該の撮影は大浴場の営業時間外に行われたもので、ほかのお客様が利用する状況ではなかった。

 

つまり、あの脱衣所にいたのは板野さんの家族だけだったのです。

知らない人が着替えている横でカメラを回していた、という絵ではありませんでした。

 

ここは、怒っていた人にとってもいちばん重い部分だったはずです。

自分が裸で着替えている姿が、知らないうちに誰かの動画へ入り込んでいたかもしれない。

その心配は、ホテルの説明どおりなら消えることになります。

 

時間外に大浴場を開けるのは大ごとになる

ただ、営業時間外という言葉を軽く読まないほうがいいと思います。

大浴場を営業時間の外で使わせてもらう。

これはふつうに予約した宿泊客には、まず通らない話です。

 

閉めたあとの時間に人を入れるとなれば、清掃の順番をずらし、浴場とフロントの担当に話を通し、鍵を開けて誰かが立ち会う必要が出てきます。

その家族のためだけに、ホテルが人と時間を動かしたことになります。

脱衣所の撮影は許可していない。でも、営業時間外の入浴は許可していた。

この2つが並んだところから、話の見え方が変わっていきます。


大浴場の貸し切りまで通れば撮影もいいと受け取る

板野さんの側は、館内を撮らせてほしいとお願いして、いいですよと言われた。

そのうえ、ほかの客が誰もいない時間に大浴場を使わせてもらえた。

宿の言葉では営業時間外ですが、使う側から見れば貸し切りです。

 

ここまで通ったとき、脱衣所だけは別ですよ、と自分から線を引ける人がどれだけいるでしょうか

私は、そこで引ける自信がありません。

 

営業時間の外に大浴場を開けてもらうのは、ゆっくり入るためだけではありません。

ほかのお客さんを写さずに撮るためでもあります。

撮ることを前提にした段取りだったからこそ、時間をずらしてもらえたと読むほうが自然でしょう。

 

ホテルの側にも宣伝という得がある

撮影協力というのは、ホテルにとって一方的な奉仕ではありません。

登録者の多い人が泊まって、館内をきれいに映してくれる。

宿にとっては、広告費をかけずに宿の中を見てもらえる形になります。

 

だからこそ、頼まれて撮った側からすると、あとから否定されたように感じるのです。

もっとも、ホテルの言い分にも筋はあります。

あの動画を見た人が「あそこは撮っていい場所なんだ」と受け取って真似をしたら、困るのはホテルのほうです。

だから脱衣所は許可していない、という説明も嘘ではないのでしょう。

 

ただ、その線を先に持っていたのはホテルのほうです。

泊まる客は、その宿のどこが撮ってよくて、どこが駄目なのかを知りません。

ルールを持っていて、時間を空けて、鍵を開けた側が、線だけは言わなかった

今回のこじれは、そこから始まっています。


板野さんの釈明に営業時間外の一言が無かった

ここまで読んで、多くの人が同じところで止まると思います。

それなら、なぜ最初にそう言わなかったのか。

 

9月5日、板野さんはXで釈明を出しています。

そこにあったのは、特別に撮影許可をいただいた、という一行でした。

いちばん誤解を解けたはずの事実が、そこに入っていません

動画の頭にテロップが1枚あれば済んだ話です。

この撮影は営業時間外に許可を得て行っています、と出しておくだけで、ここまで大きくはならなかったでしょう。

 

説明が止まっている間に矛先が変わった

そして、その5日のあいだに別のことが起きています。

9月6日、板野さんの代理人の弁護士が、批判した人たちへ投稿の削除を求める通知を送りました。

受け取った人の中には、板野さん本人ではなくホテルの対応について書いていた人もいます。

この通知そのものが燃え広がった経緯は、板野友美炎上|弁護士・野嵜努の『やらかし』が悲惨と言われる理由でまとめています。

 

説明が止まっているあいだに、話が別のところへ動いてしまった。

8日の回答が出たときには、すでに誰が何に怒っているのかが分かれてしまった後だったわけです。


リッツの大浴場は夜23時に閉まる

ところで、そもそもの疑問がひとつ残っています。

あのホテルの大浴場に、営業時間外という時間はあるのでしょうか。

 

公開されている案内では、温泉は朝5時30分から12時までと、14時から夜23時まで

あいだの2時間は清掃で閉まります。

フィットネスセンターは24時間ですが、温泉のほうは違うのです。

 

つまり、営業時間外というのは、夜23時を過ぎたあとか、朝5時30分より前か、昼の清掃の2時間のどれかです。

昼の2時間には掃除の人が入っています。

撮影に使えるとしたら、残るのは夜か早朝でしょう。

4歳の子をその時間の撮影に連れ出している

動画では、夕食と花火のあとに大浴場へ向かっていました。

この並びのまま営業時間の外で撮ったのなら、時計は23時を回っていたことになります。

 

そこにいたのは4歳のお子さん。

 

ここで指摘されているのは、子供の寝る時間そのものではありません。

その時間に子供を起こしているのが、家族の都合ではなく撮影の都合だったという点です。

 

夜中に目を覚まして親と風呂へ行く子はいます。

ただ、あの動画は公開されて収益になるもので、脱衣所で髪を乾かす場面もその中に入っていました。

逆に朝5時30分より前だったのなら、今度は夜明け前に連れ出したことになります。

どちらに転んでも、4歳の子の一日は撮影のほうへ寄せられた形です。

 

ただ、動画に出てくる順番が、そのまま撮った順番だとは限りません。

そしてそれが何時だったのかは、ホテルも板野さんも明かしていないのです


居合わせた人がいたという話と合っていない

そして、8日の回答でいちばん強かった一行そのものに、疑いが向いています。

ホテルは、ほかのお客様が利用する状況ではなかった、と書きました。

ところがXには、脱衣所に入ったら撮影していたという書き込みが、騒動の早い時期から出ています。

20分ほど回していた、という話も一緒に回っています。

 

この目撃談は人づてで広がっている形で、元の投稿までは確かめられていません。

それでも、誰もいなかったという説明と、誰かがいたという話が、同じ画面に並んでいるのは確かです。

考えられるのは、まず3つでしょう。

営業時間外なのに、ほかの人が入れてしまったのか。

目撃談のほうが作り話なのか。

それとも、ホテルの確認が足りなかったのか。

 

もうひとつ、どちらも嘘にならない読み方もあります。

23時までのあいだに入っていた人が、上がるときに撮影を見た。

その人が出て、浴場が閉まったあとも撮影は続いた。

閉まってからの分をホテルが「営業時間外」と呼んだのなら、証言とも食い違いません。

 

ただ、それを言えるのもホテルだけでしょう。

 

営業時間外だと知っていたのはホテルだけだった

大浴場を営業時間の外で開けたのは、ホテルです。

あの撮影が営業時間外だったことを最初から知っていたのも、宿の側だけでした。

 

ところが7日の回答に、その一言はありません。

出てきたのは、次の日の追加回答でした。

板野さんがいちばん強く叩かれていた1日を、ホテルはその事実を持ったまま過ごしたことになります。

 

だから、追加回答そのものを疑う声も出てきました。

炎上が大きくなったから擁護に回ったのではないか、という見方です。


それでも脱衣所はロビーや客室と扱いが違う

それでも、動かない話がひとつあります。

脱衣所は、ロビーや客室と同じようには扱えない場所だということです。

 

誰もいなかったから大丈夫、という理屈はわかります。

ただ、脱衣所は服を脱ぐ人のために作られた場所。

そこで安心して着替えられるのは、ここは撮られない場所だという了解が、入る人みんなのあいだにあるからです。

 

誰も写っていなくても、そこが映った時点で「撮っていい場所」に見えてしまうのです。

怒った人が守りたかったのは、板野さんが撮ったあの日の脱衣所ではありません。

自分が明日入る脱衣所のほうでしょう。

 

しかも、この宿には撮影について書かれたものがありました。

温泉施設の利用ポリシーに、ロッカールームを含む施設内での携帯電話やカメラの使用を禁じる一文がある、と指摘されています。

ソーシャルメディアへの投稿も禁止、とも書かれているそうです。

ホテルは、控えてもらう範囲を細かく伝えられていなかった、と書きました。

ただ、書いたものはあったわけです。

伝えていなかったというより、伝わっていなかった、というほうが近いのかもしれません。

 

そして、そこが泊まる側からいちばん見えにくいところでもあります。

予約のときに読んだ利用規約を、全部覚えている人はいないでしょう。

 

ホテルは追加回答の最後に、今後はどんな事情があっても脱衣所での撮影は行わせない、と書いています。

規約に書いてあっただけの一文を、今度は現場で守らせると言い切ったわけです。

 

怒りが行き場をなくしたわけではない

8日の回答で、責める相手は一人ではなくなりました。

いま批判は、板野さんとホテルの両方へ向いています。

 

板野さんへは、脱衣所で回したこと。

撮影の都合で4歳の子をその時間に連れ出したこと。

ホテルへは、線を伝えなかったことと、知っていた事実を1日置いてから出したこと。

 

そして、どちらにも同じ言葉が投げられています

それならなぜ、最初に言わなかったのか。

後出しに見える、という声です。

 

だからといって、不快だと感じた気持ちが間違いだったことにはなりません

あの場面を見て嫌だと思ったのは、脱衣所という場所への感覚がまともに働いたからです。

新しい事実が出たからといって、その感覚まで引っ込める必要はないと思います。

 

変わったのは、怒りの正しさではありません。

怒りの宛先のほうです。

 

次に旅館やホテルの大浴場へ行ったとき、脱衣所の入口に撮影禁止の札が増えているかもしれませんね。

誰も読まない規約の中から、目に入る場所へ出てきた一枚です。