2026年9月9日の朝、Xのタイムラインが「めざましテレビがうるさい」という言葉で埋まりました。

 

名前が挙がっていたのは、男性アイドルグループM!LKの塩﨑太智さんです。

9月のエンタメプレゼンターに選ばれていて、この日がその初日でした。

「朝からギャンギャンうるさい」「原稿が耳に入ってこない」「滅の連呼がしつこい」。

そんな投稿が、数千件の「いいね」を集めながら並んでいきました。

滅、というのが何のことなのかも分からないまま。

 

いっぽうで「元気でよかった」「朝から笑った」という声も出ています。

さらに「嫌なら見なければいい」と、うるさいと言った側をたしなめる投稿まで現れました。

 

朝の支度をしながらテレビをつけていて、思わずチャンネルを変えた人。

そのことをぽつりと書いたら、責められる側に回ってしまった人。

どちらだったとしても、たぶん知りたいことは同じです。

 

「滅」とは何なのか。この人は明日も出るのか。そして、なぜ声がきついと言われたのか。

はじめの二つは、じつはもう答えが出ています。


9月9日の朝にXが「めざましテレビがうるさい」で埋まった

『めざましテレビ』はフジテレビ系で、月曜から金曜の朝5時25分から生放送されている番組です。

塩﨑さんは6時台のエンタメコーナーに登場し、7時台からはMCのひとりとして番組の最後まで出ていました。

火がついたのは、本人が画面に出てから30分もしないうちでした。

 

7時を過ぎたころには、番組名と「うるさい」がセットで流れてきていました。

就任の初日にいきなり炎上、と書かれてもおかしくない朝でした。

この人が書きたかったのは、たぶん後半でしょう。

皆同じこと思ってるみたいで

批判が広がったというより、自分だけじゃなかった、という安心が広がったのかもしれません。

朝のテレビに違和感を持ったとき、それを口に出す相手はふつういません。

家族はまだ寝ているか、支度に追われているかのどちらかですから。

 

「塩崎くんっていうのね」「名前は今日知った」という書き方も、あちこちに出てきます。

多くの人にとって、この日が名前と顔の結びついた最初の朝だったのでしょう。


「滅」は鬼滅の刃ではなくM!LKの曲名だった

いちばん誤解されていたのが、この一文字でしょう。

「滅」と大声で言われれば、多くの人はまず『鬼滅の刃』を思い浮かべます。

朝の番組で映画の宣伝でもしているのか、と受け取った人もいたはずです。

ところが、これは違います。

「滅」はM!LKの曲名に入っている言葉で、塩﨑さんの口癖です。

 

M!LKは2026年2月18日に、両A面シングル「爆裂愛してる/好きすぎて滅!」を出しています。

好きすぎて滅。うれしすぎて滅。感情が振り切れたときに使う、感嘆符のような言葉です。

もとは去年10月に配信された曲なので、ファンのあいだではもう1年ちかく交わされてきた言い方。

ちなみにM!LKは、劇場版『鬼滅の刃 無限城編』とは何の関係もありません。

 

さんまさんにも通じていなかった

この言葉、じつは前から分かりにくいと言われていました。

2026年8月11日に放送された日本テレビ『踊る!さんま御殿!!』で、塩﨑さんは明石家さんまさんから質問攻めにあっています。

滅というのは、どういうときに使うのか、と。

塩﨑さんは「さんま御殿に出られて、うれしすぎて滅!」と実演してみせました。

それでもさんまさんには伝わらず、最後は「もうなんでもいいです!!」と音を上げています。

9月9日に始まったことではありません。

その朝に初めて聞いた人が、一度にたくさん増えただけでしょう。

ファンのあいだでは、こんなふうに飛び交っている言葉です。

それに、使っているのは本人だけでもありません。

就任を知らせた番組の公式Xも「皆さんの朝を楽しい時間にできるよう緊張するけど頑張り滅」と書いていました。

番組の側も、この言葉ごと呼んだのかもしれませんね。


生放送に出るのは9月17日と29日のあと2回

塩﨑さんの肩書きは「9月マンスリーエンタメプレゼンター」です。

月替わりの枠なので、9月が終われば10月は別の人に替わります。

そして毎朝出ているわけでもありません。

所属事務所の発表によると、スタジオへの生出演は9月9日・17日・29日の3回です。

9日が終わったので、残りは17日の木曜と29日の火曜になります。

 

たとえば、出る日だけは見ないでおこうと書いていた人。

出る日だけ見ないでおこう、という願いは、日付さえ分かればそのまま叶います。

実際、翌日の2026年9月10日の朝は、いつものメンバーでした。

前の日にチャンネルを変えた人の、翌朝の書き込みです。

チャンネルを変えた人が、次の朝は変えずに済んだ。

日付を知っているかどうかだけで、朝の過ごし方は変わるものですね。


発表の日に本人が言っていたのは「カミカミになる」だった

就任が発表されたのは、2026年8月31日の月曜でした。

この枠は毎月ちがうタレントが座るので、キャスターの経験がない人も来ます。

そのときのコメントが、いま読むと少し切ないのです。

 

「僕ってプレゼンターとかキャスターのイメージがないと思うので」

「カミカミになっちゃいますけど、大目に見ていただけたらうれしい」

 

原稿を読むのは初めてで、うまくできないかもしれない。

そう、本人が始まる前から言っていました。

ただ、実際に朝の茶の間で起きたことは「噛む」とは少し違いました。

噛んだから聞き取れなかったのではなく、声が大きすぎて言葉が塊になってしまった、という感想が多かったのです。

注文の中身まで書いている人もいました。

やめてしまえ、とは言っていません。

振られたときだけ声を張ってほしい、と書いているだけです。

怒っているように見えて、言っていることはかなり具体的でした。


朝5時25分の番組にライブの声がそのまま乗った

ではなぜ、あんなに声が大きかったのでしょうか。

答えの半分は、本人の経歴に書いてあります。

 

塩﨑さんは2000年9月11日生まれの25歳で、和歌山市の出身です。

特技はアクロバット、ダンス、器械体操。M!LKではライブの演出も担当しています。

いつもの仕事場は、客席のあるステージ。

何百人、何千人の前で、後ろの列まで声を届けることを毎回やっている人。

その発声のまま、朝のスタジオに入ってきました。

 

ついでに言うと、塩﨑さんのレギュラー番組はこれまで夜でした。

TBSの『よるのブランチ』は、水曜の深夜0時近くに始まります。

その時間に届いていた声が、いきなり朝の6時台へ来ました。

 

朝のテレビは「聞くもの」ではなく「置いておくもの」

もうひとつは、時間帯です。

朝5時台から7時台にかけて、テレビをじっと見ている人はほとんどいないでしょう。

洗い物をしながら、髪を乾かしながら、子どもを起こしながら、音だけを部屋に置いています。

画面を見るのは、天気予報と電車の遅れが出たときくらいでしょうか。

音量も上げていません。まだ寝ている家族がいる家なら、なおさらです。

その状態のところへ、ステージ用の声量が来る。

同じ声でも、夜なら笑えて朝はキツい。

元気か、うるさいか。

決めているのは声の大きさではなく、聞く時間のほうです。

昼の番組なら我慢できる、という線の引き方には頷いてしまいました。

そして、この声量で朝に出ると決めたのは本人ひとりではありません。

5時25分から始まる生放送に誰を呼んで、どう振るか。

それを決める人が、番組にはいます。

 

ステージで鍛えた声をそのまま持ってきた25歳と、それを朝の茶の間に出した番組。

ちぐはぐに聞こえたのは、誰も止めなかったからかもしれません。


「元気でよかった」と思った人はXに書かない

タイムラインを眺めていると、世の中の全員が怒っているように見えてきます。

でも、そう見えるのには理由があります。

なぜ偏るのかを、うまく言葉にしている人がいました。

言われてみれば、私も「よかったな」で終わった朝にスマホを開いたことはありません。

画面に出てくるのは、書かずにいられなかった人のほうです。

 

もちろん、逆の朝もありました。

怒っている人が多いのではなく、怒った人が書いているだけ。

画面が埋まったからといって、世の中まで埋まったわけではありません。


朝から滅と言われると消えろに聞こえる

2026年9月10日になると、うるさい以外の理由を書く人が出てきました。

 

9日の放送への投稿を見ていた人が、こう書いています。

「メンタル不調とか心を病んでしまった方に『滅!』とか絶対に言っちゃいけないんだなと感じました」。

聞いた側は「消えろ、滅びろ」と言われているように受け取ることがある、と。

 

たしかに、前の日の投稿にも「朝から滅びろと言われている気分になる」という書き方がありました。

フジテレビへ意見を送った、という人までいます。

 

滅びろに聞こえる、という見方は、それまで庇っていた側にも届きました。

この一文字の意味をあらためて考えたのは、今回が初めてという人も多いのではないでしょうか。

 

ファンのあいだで交わすぶんには、これまで何も起きていませんでした。

好きすぎて滅、と言い合う相手は、意味を知っている人ばかりですから。

起きたのは、朝5時25分から始まる生放送で連呼されたときでした。

意味を知らない人の耳に、いきなり大きな声で。

 

うれしすぎて滅、と言っている本人に、そんなつもりがないのは分かります。

由来を知っても、耳に入ってくる音のほうは変わりません

まだ眠っている頭に届くのは、曲名ではなく一文字だけです。


嫌なら見なければいいと言われても朝は消せない

9日のお昼が近づくころには、庇う側の声も増えてきます。

庇いたくなる気持ちは分かります。

就任が決まったときも、まだメンバーに言えていないんです、と照れていた人ですから。

まだ25歳で、初めての生放送でもありました。

 

ただ、朝のテレビは夜のテレビと違います。

夜なら、つまらなければ消して寝ればいい。

朝は、家を出る時間も電車も傘も、テレビで確かめています。

音だけ止めるわけにもいきませんね。

 

見なければいい、と言われても、見ているのではなく聞こえてくるんですよね。

朝からしんどいと感じたことは、わがままではありません

 

それでも、声がつらかったと書くのと、その人はいらないと書くのは、別のことだと思います。

声のことなら、番組に届きます。

でも、いらない、と書かれたぶんは、本人が読みます。

 

次に塩﨑さんがスタジオに座るのは、9月17日の木曜です。

そのころには声も落ち着いているかもしれませんし、変わっていないかもしれません。

変わっていなかったら、また同じように書けばいいと思います。

9日の朝、同じことを書いた人はひとりではありませんでした。