2026年2月20日の朝、テレビをつけた瞬間「え、フリー9位でこの点数!?」と思った人、きっと少なくないはずです。

ミラノ・コルティナ冬季オリンピック、フィギュアスケート女子シングル。

冒頭のトリプルアクセルを美しく決め、転倒なし、笑顔全開——そんな演技を披露した17歳の中井亜美選手が、まさかのフリー9位

フリーの点数一覧

「低すぎる」「採点おかしくない?」という声がSNSに溢れかえったのも、無理はないと思うのです。

しかも今大会、日本女子は1大会で銀・銅の複数メダルを史上初めて獲得し、日本勢の冬季五輪通算メダルもついに100個に到達するという歴史的な夜でもありました。

そんな熱狂の裏で、「中井ちゃんの点数、低くない?」というモヤモヤが日本中に広がっていたわけです。

今回は、そんなファンの気持ちに正面から向き合いながら、採点の仕組みや中井選手の魅力を丁寧にほぐしていきたいと思います。

中井亜美のフリー点数が低いと騒然!

SP首位から一転、フリー9位という衝撃の展開をまず振り返っておきましょう。

2月18日のショートプログラム(SP)で、中井亜美選手は78.71点という自己ベストを叩き出して堂々の首位発進でした。

五輪の大舞台で、しかも17歳で、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を冒頭でいとも自然に成功させるというのは、並大抵のことではないんです。

それがまるでいつものように、フワッと降り立つように着氷してみせた。

会場が沸いたのも当然で、テレビの前でガッツポーズした人も相当数いたはずです。

SP首位から一転、フリー9位という衝撃の展開

ところが翌日、フリー(FS)でスコアは140.45点でフリー単独9位

合計219.16点で、なんとか銅メダルを死守する形になりました。

金メダルはアリサ・リウ(米国・226.79点)、銀メダルは坂本花織(224.90点)、4位に千葉百音(217.88点)と、日本勢が表彰台をほぼ独占するという壮絶な争いでした。

でもファンの心の中に残ったのは「なぜ中井ちゃんのフリーはあんなに点数が伸びなかったのか」という疑問だったわけです。

ちなみに中井選手の今回の銅メダルは、女子フィギュアとして伊藤みどりさん、荒川静香さん、浅田真央さん、坂本花織さんに続く日本女子5人目の五輪メダリストという歴史的な快挙でもあります。

SNSで「低すぎ論争」が一気に爆発

演技が終わった瞬間からX(旧Twitter)やYahoo!ニュースのコメント欄には、怒涛のように声が押し寄せました。

「トリプルアクセル決めて転倒なしなのにフリー9位って低すぎる」

「GOEマイナス多すぎ。スローで見ても着氷きれいだったのに」

「あれだけの演技で9位はおかしいやろ」

こういった声が数万単位で拡散し、東スポWEBが記事タイトルに「点低すぎない?」とド直球で載せるほどの社会現象になっていました。

ファンが怒るのは、決して「ひいき目」だけではないと思うんです。

見た目の美しさと出てきた数字のギャップがあまりにも大きかった——それが「腑に落ちない」感情の正体ではないでしょうか。

さらに「SP1位なのにフリー9位で銅メダル」というドラマチックすぎる展開が、感情の振れ幅をさらに大きくしたとも言えそうです。

演技後、人差し指をほおに当てて首をかしげる可愛い仕草がSNSで即ミーム化し、「全世界が中井亜美に気づいた日」とポジティブに拡散していたのも、この日の大きな話題のひとつでした。

一方で、本人はどこまでも前向きでした。

演技後のインタビューで「緊張もほとんどなくて、いつも通りの自分をしっかり出せた。銅メダルという形で終われたことが本当にうれしいです」とにこやかに語っていたんです。

得点発表の際、約10秒間無表情で固まっていたのが「ガッカリしているのでは」と心配されましたが、本人は「どこに順位が出るかわからなくて、名前の横に3位って出て、現実なのか疑うぐらいびっくりしました」と明かしています。

まるで合格発表を見に来た中学生みたいなリアクション、と大反響だったのも納得の可愛さです。

その後、大粒の涙を流しながら金メダルのアリサ・リウと抱き合って飛び跳ねて喜ぶ姿は、見ているこちらまで感動してしまいました。

中井亜美の採点が伸びなかった3つの理由

「見た目は完璧だったのに、なぜ点数がついてこなかったのか」——この問いに答えるには、フィギュアの採点システムを少し紐解く必要があります。

採点は大きく「TES(技術点)」と「PCS(演技構成点)」の合計で決まります。

TESはジャンプやスピンなどの基礎点に出来栄え評価(GOE)を加えたもの、PCSはスケーティングの質や音楽表現など複数の観点で評価される部分です。

この両輪がかみ合わないと、見た目のすばらしさが点数に直結しないことがある——ここがフィギュアスケートの難しくも奥深いところなんです。

理由① 連続ジャンプのダウングレードが致命傷になった

最大の要因は、3回転ルッツからの連続ジャンプ(3Lz+3T)の予定が、3Lz+2Tになってしまったことです。

ルッツからトーループへの連続ジャンプで、2つ目のトーループの着氷が乱れ、2回転止まりになってしまったわけです。

文章で書くと小さなミスに見えますが、採点上の影響は相当大きいんです。

基礎点のロスだけで約3〜4点、さらにGOEもマイナス評価になり、この1つの要素だけで5点以上を失った計算になります。

仮にこの連続ジャンプが予定通りに決まっていたら、TESは5〜6点上乗せされ、フリー単独で145〜146点に届いていた可能性がある。

そうなると合計224点超えで、銀メダル圏内に入っていたかもしれないわけです。

「たった1本のジャンプの後半が2回転になっただけで、このドラマが変わっていたのか」と思うと、フィギュアスケートという競技のシビアさを改めて感じてしまいます。

さらに、一部の着氷にも「q(クォーター)」判定——つまり1/4回転不足の判定が2つついていたことも報じられており、これがGOEをさらに引き下げた要因のひとつです。

終盤のジャンプでも完全に決めきれない場面があり(朝日新聞報道)、ミスが複数重なってしまったことで、TES全体が大きく抑えられてしまいました。

ルールでは1/4回転ほど足りないだけで判定が変わることがあり、高難度ジャンプに挑むほどリスクも大きくなる——これがいわゆる「高難度の罠」です。

それでも冒頭の3AはGOE+1.71という高加点を得ており、武器は確かに光っていたんです。

だからこそ「あれだけトリプルアクセル決めたのに」という悔しさが、ファンの心に残るのでしょうね。

理由② 17歳ゆえのPCS(演技構成点)の限界

フィギュアスケートの採点において、若い選手が直面しやすい壁がPCSです。

PCSは技術的な完成度だけでなく、スケーティングの「深み」や「音楽との一体感」、演技全体の熟練度を評価する項目です。

ベテラン選手がなぜ同じミスをしても点数が高くなりやすいか、その理由の多くはここにあります。

坂本花織選手はPCSで世界トップクラスの評価を長年積み重ねてきており、今回もその貯金が大きく効いています。

中井選手はシニアデビューからまだ1年足らず。

演技の美しさは折り紙付きでも、「経験値から生まれる深み」という部分では、どうしても僅差で後れを取らざるを得ない状況でした。

これは彼女の力不足ではなく、経験の長さと年齢による蓄積の差と捉えるべきでしょう。

逆に言えば、この先の成長余地がとてつもなく大きいということでもあるんです。

コーチの中庭健介氏も「スケーティングがとても上手い」と評価しており、土台はすでに一流。

あとは経験と時間が、PCSという数字に変換されていくのを待つだけなのかもしれません。

理由③ 「見た目の美しさ」と「デジタルな採点」のズレ

これがファンの「低すぎ」感情の核心部分かもしれません。

テレビ中継で見る演技は「流れ」として目に入ります。

伸びやかなスケーティング、笑顔、音楽との一体感——こうした印象が積み重なって「完璧な演技だった」と感じるわけです。

ところが採点は、要素ひとつひとつをバラバラに採点して積み上げていく作業です。

ジャンプの着氷時に膝が少し流れた、スピードが微妙に落ちた、エッジの角度がわずかにズレた——こういった部分がGOEのマイナスとして蓄積されていきます。

映画を「全体の雰囲気」で評価するのと、「演技・脚本・映像・音響」をそれぞれ別々に採点するのとで、まったく違う結果が出ることがあるのと似た話です。

だから「見た目は140点超えそうだったのに、140.45点どまりなのはおかしい」という感覚は、ある意味で正しい感覚とも言えます。

ただそれは採点が「おかしい」のではなく、採点というシステムが「総合印象」ではなく「要素の積み上げ」で動いているというギャップから来ているんです。

過去の五輪でも「美しい演技なのに点が伸びない」論争は何度も起きており、ISUが透明化を進めても、GOEやPCSの主観的な部分が残る限り「納得いかない」感情は生まれ続けるのでしょう。

それがフィギュアスケートという競技の、魅力でもあり、難しさでもあるのかもしれませんね。

中井亜美は浅田真央以来の天才?

SP首位・銅メダル・フリー9位——この複雑な結果を抱えながら、それでも中井亜美という17歳が世界を熱狂させた事実は変わりません。

なぜ彼女はこんなにも短期間でここまで来られたのか、そしてこれからどこへ向かうのか。

その素顔と未来を、もう少し掘り下げてみましょう。

TOKIOインカラミ所属、新潟出身の17歳が歩んできた道

中井亜美選手は2008年4月27日、新潟市生まれ。

スケートを始めたのは5歳のとき、バンクーバー五輪で浅田真央さんの演技をテレビで見たことがきっかけだったと言われています。

「あの人みたいになりたい」という憧れが、その後の壮絶な努力を支え続けることになります。

10歳のときには浅田真央さん直伝のスケート教室に参加し、ツイズルなどの指導を受けるという運命的な縁もありました。

そして12歳のとき、「このままじゃだめだ」と感じた彼女は、新潟から千葉・船橋のMFアカデミーへ移籍を決意します。

父親や姉と離れ、最後の夜に「パパバイバイ」と手を振り続けたエピソードは、報道で涙した人も多かったことでしょう。

中庭健介コーチの指導のもと、トリプルアクセルの習得には約1年。

膝や腰にあざを作りながら、何百回も転び続けた末に習得した武器が、今回の五輪の舞台でも光り輝いたわけです。

所属するTOKIOインカラミとの契約は2023年、通信制高校を選択して遠征と学業を両立させながらここまで来ています。

2025〜26シーズンはシニアデビュー1年目でGPフランス大会優勝(デビュー戦初優勝・日本女子史上3人目)、GPファイナル2位、四大陸選手権2位と、目を疑うような実績を積み上げてきました。

正直、これだけの経歴を並べると、「天才」という言葉が軽く感じられるほどです。

浅田真央超え、日本女子フィギュア史上最年少メダリスト誕生

今回の銅メダルで、中井選手は17歳298日という史上最年少で日本女子フィギュアのメダリストになりました。

それまでの記録を持っていたのが、憧れの浅田真央さん(バンクーバー五輪銀・当時19歳)。

憧れた人の記録を、憧れた人より2歳も若く塗り替えてしまったわけです。

さらに今大会、日本女子五輪史上最年少でのトリプルアクセル成功(17歳最年少)も達成しており、記録ずくめの五輪となりました。

フィギュアの世界で「浅田真央以来の逸材」と評されるのは、単にトリプルアクセルが跳べるからだけではないと思うんです。

あの笑顔と天真爛漫なキャラクター、演技中のコロコロ変わる表情、得点発表後の「ん?」とほおに手を当てる仕草——こうした「スケート場を丸ごと自分の世界にしてしまう引力」が浅田さんと重なって見えるのでしょう。

伊藤みどりさん、荒川静香さん、浅田真央さん、坂本花織さんに続く日本女子5人目の五輪メダリストとして、その系譜に名を刻んだわけです。

これを「天才」と呼ばずして何と呼べばいいのか、という話ではないでしょうか。

2030年への期待値、どれほどの選手になっているのか

次の冬季五輪、2030年の開催時には中井選手は22歳前後。

フィギュアスケーターとしてまさに円熟期に差し掛かる年齢です。

今回伸び悩んだPCSは、経験を積むごとに確実に上がっていきます。

坂本花織選手がそうであったように、数年の積み重ねでPCSが世界トップ級になるケースは珍しくありません。

技術面でも、GOEの安定化が進めばフリー単独で150点台、場合によっては155〜160点に届く可能性も十分あります。

そうなれば合計230点超えは決して夢ではなく、金メダル圏内に十分入ってくる計算になります。

今回の「フリー点数低すぎ論争」は、見方を変えれば「中井亜美が世界中の人々を熱狂させた証拠」でもあります。

誰も気にしない演技なら、「低すぎる」という声は上がりません。

あれだけ心を揺さぶったからこそ、採点への疑問が生まれたわけです。

その意味で、140.45点という数字は彼女の価値をまったく表していないし、逆に言えばこの数字でも銅メダルを獲れた実力もまた本物です。

インタビューで「次の五輪も帰ってこれるように頑張る」と語った17歳の言葉は、決して強がりではないと感じます。

「びっくりして、現実を疑うぐらいうれしかった」という笑顔を見ながら、2030年にどんな選手になっているのかを今から楽しみにしている自分がいます。

次こそは「点数高すぎない!?」という声が世界中から聞こえてくる日を、一緒に待ちましょう。

中井亜美のあざといポーズが嫌い・可愛い派で分かれてる件
中井亜美のあざといポーズが嫌い・可愛い派で分かれてる件2026年2月19日(日本時間20日)、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケート女子フリー。 最終滑走者としてリンクに立...
深田茉莉と村瀬心椛
スロープスタイル|村瀬心椛と深田茉莉との採点に差が出た理由をわかりやすく解説!現地時間2026年2月18日(日本時間19日未明)、ミラノ・コルティナ冬季五輪の女子スノーボード・スロープスタイル決勝がイタリアのリヴィ...
ソウルメイト、りくりゅうペア、木原龍一を抱きしめる三浦璃来
りくりゅうペアは相性99%のソウルメイト!結婚の可能性について2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック、フリースケーティング(FS)の演技が終わった瞬間、木原龍一選手の目から大粒の涙がこぼれ落ち...