フィギュアスケートの大会が終わると、ファンの間でいつも盛り上がる話題があります。

そう、大会の最後を飾るエキシビション(ガラ)についてです。

競技とは打って変わった、自由で華やかなパフォーマンスに「もっと見ていたい!」と思うのは、きっと多くのスケートファンの共通の気持ちではないでしょうか。

でも同時に、こんな疑問が浮かんでくる方も多いはず。

「あれ?あの選手、出てこないな……」

「5位だったのに、なんでエキシビションに出ないの?」

2026年2月に開催されたミラノ・コルティナ五輪でも、女子シングル4位に入賞した千葉百音選手がエキシビションに招待されなかったことが大きな話題になりました。

SNSでは「なんで?」「おかしくない?」という声が続出。

ファンの怒りと疑問が渦巻く中、あらためて「エキシビションって、どうやってメンバーが決まるの?」という問いに向き合いたいと思います。

さらに今回は、あまり語られない「衣装や曲はいつ決めるの?」「本番直前に内容が変わることはあるの?」という”準備の裏側”にも踏み込んでいきますね。

そもそも何人出られるの?知られてない人数制限の話

大きな大会に出場するフィギュアスケート選手は、100名を超えることが珍しくありません。

しかし、エキシビションに立てるのは、そのうちのわずか20〜40名程度です。

2022年の北京五輪では24名、2026年のミラノ五輪では約40名以上が招待されましたが、それでも全選手の3割にも満たない計算になります。

なぜこれほど絞り込まれるのでしょうか。

理由のひとつは時間の制約です。

エキシビションは通常2〜3時間という枠の中で構成されます。

ミラノ五輪のエキシビションは現地時間2月21日20:00〜22:30(日本時間翌朝4:00〜)に開催され、約2時間半のショーとして世界中に生中継されました。

テレビ局との放映契約、会場の設営スケジュール、選手の体調管理……これらすべてを調整した結果、「少数精鋭」という形が定着しているんです。

でも正直なところ、それだけが理由ではありません。

エキシビションは「競技の延長」ではなく「ショーエンターテインメント」として設計されているのです。

誰がいれば会場が盛り上がるか、誰の滑りが世界中の視聴者を釘付けにするか——そういった視点が、選考の核心にある、ということを忘れてはいけません。

「選ばれる人」の条件、正直に整理してみた

エキシビションの選考基準は、ISU(国際スケート連盟)が完全に公開しているわけではありません。

ただ、過去の大会を振り返ると、おおよその「優先順位」が見えてきます。

①まず確実に入るのが各種目のメダリスト

男子・女子シングル、ペア、アイスダンスの各部門で金・銀・銅を獲得した選手は、原則として自動的に招待されます。

ミラノ五輪では、女子金メダルのアリサ・リュウ(米国)、銀の坂本花織選手、銅の中井亜美選手がその筆頭でした。

メダリストがいない舞台なんて、ラーメンにスープがないようなもの。

これは絶対に外せない鉄則です。

②次に4〜6位の上位入賞者が候補に

ただし、ここからは”自動的に”とはいきません。

4〜6位の選手が候補に上がりますが、最終的に選ばれるかどうかは「演技の芸術性」「キャラクター性」「観客へのインパクト」が大きく左右します。

ISUは過去に、エキシビションを「ショーとしての価値を高める場」と位置づける発言をしており、”競技成績だけではない基準”が明確に存在しているのです。

③開催国枠・特別招待枠も存在する

ミラノ五輪では、イタリアのダニエル・グラッスル選手がエキシビションの1番滑走として登場し、地元観客の熱気を引き出しました。

地元スターの存在はエンターテインメントとして欠かせない存在。

これは事実上の「開催国枠」として機能しています。

また、競技成績とは別に「世界的なスター選手」には特別招待枠が用意されることもあります。

④国別バランスという見えないルール

千葉百音選手の件で浮き彫りになったのが、この「国別バランス」という非公式の運用基準です。

ミラノ五輪では、日本からすでに坂本花織選手・中井亜美選手の2名がメダリストとして招待されていました。

4位の千葉選手はそこから3人目の日本人枠に入れなかった——そう見るのが、現在最も有力な見方です。

「1カ国から2名まで」という明文化されたルールはないものの、多国籍バランスを重視する運用が実態として存在していると考えられます。

千葉百音、なぜ出られなかったのか

4位という堂々たる成績にもかかわらず、エキシビションに招待されなかった千葉百音選手。

SNSでは「なんで千葉さんが出ないの?」という声が相次ぎ、英語圏のフィギュアファンからも強い批判の声が上がりました。

「彼女は4位で、技術も高く、プログラムも素晴らしく、ファンにも愛されている。なのに、なぜ物議を醸すロシア系選手や、ランキングも低くファン人気もない選手が選ばれるのか。これは腐敗だ」——そんな声も出るほど、今回の選考は注目を集めました。

ではISU側はどう説明しているのかというと、「エンターテインメント性を優先した」という姿勢を崩していません。

千葉選手自身は「正直、4位で終わるのは悔しい。でも表彰台の3人の演技は本当に素晴らしく、心から敬意を表します」とコメントし、次のステージ——世界選手権への意欲を示しています。

ファンの怒りはある意味、千葉選手の実力と人気の裏返しとも言えます。

今後、ISUが選考基準の透明性をどこまで高めるかが問われる局面が来るかもしれませんね。

衣装も曲もいつ決めてるの?

さて、ここからが「エキシビション準備の裏側」に踏み込む部分です。

「演技内容や衣装って、本番の成績が出てから決めるの?」

「招待されるかどうかもわからないのに、準備できるの?」

この疑問、実はとても鋭い問いなんです。

エキシは「事前に複数パターンを用意」している

トップ選手たちは、シーズンに入る前から、または大会直前までにエキシビション用のプログラムをあらかじめ準備しています。

競技用のショートプログラム・フリーと並行して、エキシビション用の演目も練習済みというのが一般的なスタイルです。

衣装もあらかじめ複数パターンを用意しているケースが多く、競技本番で着たものとは別のドレスや衣装でエキシビションに臨む選手も少なくありません。

招待されてから48時間以内に微調整が行われることも

招待通知が来るのは、競技終了後2〜3日以内というのが通例です。

つまり、選手たちは「招待されたら使う用のプログラム」を持ちながら、本番の成績発表を待っているわけです。

試合結果が出て、晴れて招待が確定したところで、最終的な曲・衣装・演出の微調整に入ります。

コーチやデザイナーと連携しながら、短時間で仕上げるのがプロの凄さ、ともいえますね。

千葉選手のように招待されないケースについて

選手目線で考えると、エキシビションへの参加は「出るかもしれないし、出ないかもしれない」という状態で本番を迎えるということを意味します。

衣装を持ってきていても、使わずに帰ることになる。

練習してきたプログラムを披露できずに終わる。

これは選手としてもファンとしても、複雑な気持ちになるのは当然でしょう。

一方で、大会の本番成績で出場が決まる仕組みである以上、「全員が確実に準備できる」状態にするのは現実的に難しい側面もあります。

ここが、エキシビションという舞台の”切なさ”でもあるのかもしれません。

エキシビションならではの「自由な演技」

エキシビションには、競技では禁止されている要素が許可されています。

代表的なのがバックフリップです。

ミラノ五輪では、男子金メダルのイリア・マリニン選手が「FEAR」という楽曲に合わせてバックフリップを披露し、会場を大いに沸かせました。

小道具(プロップ)の使用も自由で、花かごや剣を持って滑る演技もOKです。

衣装変更やドラマチックな演出、観客を巻き込んだパフォーマンスなど——競技では表現しきれない選手の”素”の部分が出るのが、エキシビションの最大の魅力といえます。

ミラノ五輪では「Macarena」に合わせてアイスダンスカップルが観客をダンスに巻き込む場面もあり、会場は大盛り上がりでした。

ミラノ五輪エキシビション、誰が盛り上げた?

ミラノ五輪のエキシビションでは、印象的なパフォーマンスが続きました。

オープニングを飾ったのは、イタリアのレジェンドスケーターカロリーナ・コストナーさん。

ダイヤモンドをちりばめた白いドレスをまとい、優雅に氷上を舞う姿は圧巻でした。

地元イタリアのダニエル・グラッスル選手が1番滑走として登場すると、会場の熱気は一気に最高潮に。

女子ではアリサ・リュウ(米国)が「Stateside」で躍動し、坂本花織選手の”Sakamotoセルフィー”という恒例の演出もファンを沸かせました。

チームUSAによる「We Will Rock You」「American Woman」のグループパフォーマンスも見どころのひとつで、エンターテインメント性の高さという意味ではミラノ五輪のエキシビションは歴代でも屈指の完成度だったと言えるでしょう。

エキシビションに出ると「ギャラ」が出る?

華やかなエキシビションには、実は選手たちの生活を支える経済的な側面もあります。

表立って語られることは少ないですが、エキシビション出演にはしっかりした出演料(ギャラ)が発生するのが一般的です。

過去の事例をもとに推測すると——

オリンピッククラスの舞台では、メダリスト級で1人あたり約5,000〜10,000米ドル(約75万〜150万円)、その他の招待選手でも約2,000〜5,000米ドル(約30万〜75万円)程度が支払われると言われています。

ミラノ五輪では、インフレや大会のスポンサー規模によって、それ以上の報酬が用意されたとの見方もありますが、ISUは公式な数字を発表していません。

さらに滞在費・交通費が全額サポートされるケースも多く、遠征コストが重くのしかかるフィギュア界では、エキシビション招待の経済的な意味は非常に大きいのです。

北京五輪では「出演料とは別に1日200米ドルの日当」が支給されたという話もありました。

メダルを逃した選手にとっては、大会賞金がほとんど出ない中でのエキシビション出演は、まさに「次のシーズンへの資金」を意味することもある。

煌びやかな衣装の裏にある、こういった現実を知ると、一滑り一滑りがより重く、より眩しく見えてきますね。

まとめ

エキシビションについて整理すると、こうなります。

選手たちは事前に演目・衣装を複数パターン用意して大会に臨み、本番の成績と招待通知を受けてから最終調整に入ります。

選考は「メダリスト自動確定→上位入賞者の芸術性・人気・国別バランスで判断→特別招待枠」という流れで進みます。

だから千葉百音選手のように、成績的には文句なしでも、国別枠の都合で外れてしまうケースが起きるのです。

それが納得できるかどうかは別の話として、これが現状の仕組みです。

ファンとしてできることは、推し選手がエキシビションに出ても出なくても、その選手の競技全体を支えること。

千葉選手はミラノ五輪をバネに、次のステージへの意欲を示しています。

エキシビションの舞台に立てなかった悔しさは、きっと次の大舞台で爆発させてくれるはずです。

フィギュアスケートの世界は、競技の順位だけでは語れない、複雑で奥深い世界。

そこに魅力があるし、だからこそ私たちはいつまでも目が離せないのかもしれませんね!

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