フォルティウスは弱すぎ? ロコソラーレとの違いを徹底比較
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪、カーリング女子で日本代表を務めるフォルティウス。
スイスという金メダル候補を撃破した大金星の翌日、別の試合では手痛い敗戦を喫しています。
SNSでは「結局弱いんじゃないか」「ロコ・ソラーレの方が良かった」という声が飛び交い、応援していたファンの落胆が見て取れます。
1勝5敗という数字だけを見れば、確かに厳しい状況です。
でも本当に「弱い」チームが、世界選手権10回優勝のスイスに勝てるものでしょうか?
代表決定戦でロコ・ソラーレを破ったあの強さは、幻だったのか。
この記事では、フォルティウスが苦戦する理由とロコ・ソラーレとの本質的な違いを、親しみを持って掘り下げます。
フォルティウスが弱いと言われる理由
世界の強豪が集う五輪の舞台で、フォルティウスは苦しい戦いを強いられています。
期待と現実のギャップが、ファンの心を揺さぶっているのです。
2月17日時点での戦績は、厳しい1勝5敗。
10チームによる総当たりの一次リーグで、準決勝進出どころか最下位グループに沈んでいるのが現実です。
過去のロコ・ソラーレ時代なら5勝4敗がボーダーラインでしたから、負け越しでの準決勝進出は事実上ありえないと言えます。
初戦のスウェーデン戦は4-8のコンシード負け、続くデンマーク戦も延長までもつれこんで7-10で敗れました。
そして第3戦、ここで奇跡が起きたのです。
世界ランク1位、世界選手権で10回も優勝しているスイスを相手に、7-5で逆転勝利を収めました。
第7エンドで吉村紗也香選手が放ったダブルテイクアウトが決まり、第10エンドも冷静に逃げ切る。
チーム全体のショット成功率でスイスを上回る内容でした。
各紙が「大金星」と報じたのも当然の結果です。
ところが、です。
その直後の米国戦では第8エンドで3点をスチールされて4-7で敗戦。
韓国戦でも同じく第8エンドで3点を献上して5-7。
カナダ戦では第3エンドで吉村選手のドローショットがハウス内をスルーしてしまい、3点スチールを許す痛恨のミスが響いて6-9で敗れました。
現地で解説を務めた石崎琴美氏は、Number Webの記事で「状態は悪くない。大会入りから見て『爆発的な力』が出ていない。チームが目指すカーリングが出せていない」と指摘しています。
特に8エンドが鬼門で、ドローウェイトのばらつき、とりわけソフトウェイトが長くなる傾向が見られるといいます。
スイス戦では「全集中」でウェイトが安定したものの、他の試合ではその集中力を維持できていないようです。
SNSやコメント欄を覗けば、ファンの声は切実です。
- スイスに勝ったのに他の試合で勝てないのは弱いんじゃないか
- 期待していたのに…ロコ時代みたいに勝ちきれない
- 初出場で経験不足が響いている?
- 吉村さんのプレッシャー?
こうした声の根底にあるのは、期待値とのギャップです。
世界ランク5位、日本選手権3回優勝という肩書きを持つチームが、五輪の舞台で力を出し切れない。
そのもどかしさが「弱い」という言葉に集約されているように思えます。
正直なところ、観ている側も複雑な気持ちになるのは当然でしょう。
フォルティウスとロコソラーレの違い
フォルティウスの苦戦を見るたびに、過去の栄光が脳裏をよぎります。
しかし、代表の座は試合で勝ち取るもの。
「ロコ・ソラーレの方が良かった」という声は、大会が始まる前から囁かれていました。
藤澤五月選手を中心に、平昌で銅メダル、北京で銀メダルを獲得したあの黄金チームの方が、五輪という大舞台では頼もしかったのではないか、と。
実績があり、経験があり、何よりあの笑顔と明るさで日本中を沸かせたロコ・ソラーレは、まさに国民的ヒロインでした。
しかし、代表選考は試合で勝ったチームが選ばれるというシンプルなルールです。
2025年9月の代表決定戦、稚内で行われた戦いで、フォルティウスはロコ・ソラーレを破りました。
予選リーグでは7-6、タイブレークでは7-2で勝利し、第6エンドでコンシードに追い込みました。
吉村選手のラストドローが決勝点となったあの試合は、多くのファンを驚かせました。
ロコの敗北の衝撃と、フォルティウスの強さの実感が交錯した瞬間でした。
2025年の日本選手権でも、フォルティウスは4年ぶり3度目の優勝を果たしました。
ロコ・ソラーレは早期敗退で、国内最強の座はフォルティウスが手にしたのです。
純粋に実力で勝ち取った代表権だったわけです。
ただし、経験値という点では決定的な差があります。
ロコ・ソラーレは平昌と北京で五輪を2大会連続経験し、しかも両方でメダルを獲得しています。
五輪の舞台を知り尽くし、勝負どころを見極める力は、数字では測れない財産でしょう。
一方のフォルティウスは、吉村選手、小谷優奈選手、小林未奈選手が五輪初出場。
近江谷杏菜選手と小野寺佳歩選手は過去に五輪経験がありますが、チームとして本格的な五輪は今回が初めてです。
石崎琴美氏は「最終予選では『覚悟が決まっていた』表情だったが、五輪では少し硬い。経験の差が『勝ちきれない』展開に繋がっている」と分析しています。
覚悟と経験は、似ているようで全く違うものなのかもしれません。
さらに、フォルティウスにはロコ・ソラーレにはなかった苦難の歴史があります。
2021年、北京五輪の代表決定戦でロコに敗れた直後、スポンサーの北海道銀行が契約を終了しました。
年間数千万円の活動資金が一気にゼロになり、存続の危機に立たされたのです。
選手たちは病院で働きながら、外回りでスポンサーを集め、クラウドファンディングまで実施しました。
そうして這い上がってきたチームが、今、五輪の舞台で苦しんでいる。
その姿を見て「弱い」と切り捨てるのは、酷な気がします。
ロコ・ソラーレには地元北見の熱烈なサポート、メディア露出の多さ、そして圧倒的なファン層がありました。
フォルティウスにはそのような恵まれた環境はなく、むしろゼロから這い上がってきたチーム。
この違いは、単なる強さの比較では語れない部分があるように思います。
ロコソラーレとフォルティウスはどっちが強いのか比較
チームカラーの違いが、両者の魅力を際立たせています。
そして、その違いこそが強さの本質を物語っているのかもしれません。
チームカラーという観点から見ると、ロコ・ソラーレとフォルティウスは対照的です。
ロコは明るく、楽しげで、声を出して観客を巻き込むエンターテイメント型。
藤澤五月選手の笑顔と積極的なコミュニケーションは、見ている側をも元気にさせる魅力がありました。
一方のフォルティウスは職人気質で、静かに集中し、劣勢でも表情やムードが変わりません。
我慢強くプレーし続ける姿は、派手さはないけれど、どこか職人の仕事を見ているような安心感があります。
石崎琴美氏は「ロコ・ソラーレとはカラーが全く違う。個々の能力が高く、内に秘めたメンタルの強さがある。ひとつのチームとしてお互いを信頼し、一定のリズムでプレーできる」と評しています。
フォルティウスの強さは、派手なパフォーマンスではなく、静かな信頼関係の中にあります。
では、純粋な実力勝負ではどちらが強いのか。
直接対決の戦績を見れば、答えは明白です。
2025年の代表決定戦でフォルティウスは2勝0敗。
2024-25シーズンの国内大会では、ロコ・ソラーレ、北海道銀行、フォルティウスの三つ巴状態でしたが、最終的に日本選手権を制したのはフォルティウスでした。
国内最強クラスの称号は、間違いなくフォルティウスのものです。
それなのに五輪で苦戦しているのは、実力の差ではなく「五輪という大舞台への慣れ」が焦点になっているからでしょう。
ロコ・ソラーレは平昌での初出場こそ苦しみましたが、北京では銀メダルを獲得するまでに成長しました。
その経験があるから、五輪の重圧の中でも自分たちのカーリングができたのです。
フォルティウスには、まだその経験がありません。
スイス戦で見せたあの集中力を、毎試合継続できるかどうか。
それが今後の鍵になります。
石崎琴美氏は「フォルティウスは自分たちのカーリングをしっかり持っている。本当の強さはこれから出る」と語っています。
劣勢に立っても表情やムードが変わらない我慢強さこそが、フォルティウスの武器だというのです。
スイス戦に勝った後の吉村選手の笑顔が印象的だった、と石崎氏は続けます。
崖っぷちだからこそ開き直って残り試合を楽しんでほしい、という言葉です。
この言葉には、フォルティウスへの期待と信頼が込められているように感じます。
現時点での強さはほぼ互角か、国内ではフォルティウスが優位。
差が出ているのは、五輪という大舞台での経験値とメンタル面だけなのです。
それは「弱い」とは言えません。
まだ成長の途中にいるのです。
フォルティウスは、決して弱くありません。
スイス撃破、代表決定戦での勝利、日本選手権優勝という実績が、それを証明しています。
苦戦しているのは、初出場という壁と、五輪特有のプレッシャーに直面しているからです。
吉村選手のミスも、技術不足ではなく大舞台の重圧がそうさせているのでしょう。
ロコ・ソラーレは素晴らしい前任者でした。
しかし、フォルティウスは独自の色で日本カーリングを盛り上げようとしています。
スポンサーゼロから復活し、出産後に復帰した吉村選手を中心に、「より強く」というチーム名の通り前進し続けてきました。
その姿勢こそが、フォルティウスの本質です。
残り試合で「自分たちのカーリング」を出せば、まだ感動を与えられる可能性があります。
準決勝進出は厳しいかもしれませんが、彼らが最後まで諦めずに戦う姿を見守りたい。
それが今、私たちファンにできることだと思います。
カーリングは「氷上のチェス」と呼ばれます。
一投のミスが命取りになる一方で、一投のビッグショットで逆転も可能です。
スイス戦で見せたあの輝きを、もう一度信じて応援しましょう。
「やっぱりロコの方が…」と思う気持ちもわかります。
でも今はフォルティウスを応援する番です。
次の試合で彼らが笑顔でプレーできるように。
日本カーリング女子の未来は、きっと明るいです。
