2026年2月27日、マンガワン編集部がようやく出した公式声明。

『常人仮面』の原作者「一路一」が、児童ポルノ法違反で罰金刑(略式起訴)を受け、さらに民事でも賠償命令が下された山本章一氏(本名:栗田和明)と同一人物だったと認める内容でした。

「起用判断および確認体制に問題があった」「本来であれば起用すべきではありませんでした」と、謝罪の言葉は一応並んでいます。

ただ、この声明を読み込むほどに引っかかるのは、書かれていないことのほうが圧倒的に多いという点なんですよね。

なぜ逮捕歴のある作家を別名義で使い続けられたのか。

誰がその判断を下したのか。

作画担当の鶴吉繪理氏には、なぜ3年間も事実を伏せ続けたのか。

声明はこうした核心をスルーしたまま、わずか約300文字で幕を閉じました。

正直、これには驚かされましたよ。

しかし報道やnote、裁判資料、X上の投稿を突き合わせていくと、「編集者個人の暴走」ではとうてい説明がつかない構造が浮かんできます。

しかも2月27日の謝罪発表後も、マンガワン公式Xポストのリプライ欄は批判一色。

更新のたびにコメント消去疑惑が広がり、アプリ通報や不買運動もまだ続いている状態です。

この記事では、公式発表の裏側にある隠蔽の経緯を、時系列と組織構造の両面からとことん掘り下げていきます。

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マンガワン謝罪文に隠された隠蔽の経緯

声明では「確認体制に問題があった」とサラッと書かれていましたが、実際に時系列を追ってみると、その「問題」の根深さにちょっと言葉を失います。

連載終了からたった2ヶ月で別名義の新連載スタート、読者にも作画担当にも事実を伝えない徹底した秘匿。

ここでは連載終了から再起用までの流れ、別名義という手段が持つ本当の意味、そして作画担当への情報遮断について、順番に整理していきます。

①10月の連載打ち切りから12月再開まで

まず押さえておきたいのが、2022年10月1日に終了が発表され、10月末に『堕天作戦』が完結してから、わずか2ヶ月後の12月には『常人仮面』が始まっているという事実です。

え、たった2ヶ月?と思いますよね。

これがどれだけ異常なスピードなのか、漫画業界の一般的な流れを知ると輪郭がはっきりしてきます。

通常、新しい連載を始めるには企画書の作成から始まって、編集会議でのプレゼン、編集長の承認、契約書の作成、法務チェック、予算の配分、宣伝の準備と、かなりのステップを踏まなきゃいけません。

普通にやれば数ヶ月から半年はかかるプロセスなんです。

それが今回はたったの2ヶ月で完了している

しかも「別人」として通すための名義変更まで含めてです。

これを偶然だと思う人は、おそらくいないでしょう。

堕天作戦を終わらせる前から再起用の準備が進んでいたと考えるのが、どう見ても自然な解釈です。

 

もう少し前にさかのぼると、事態の異常さがさらに際立ってきます。

2020年、山本章一氏は児童ポルノ法違反(製造等)で逮捕され、略式起訴で罰金30万円の処分を受けました。

なお、性交等に関する部分は不起訴になっていますが、それで罪の重さが変わるわけではありません。

堕天作戦は逮捕発覚直後から休載に入りましたが、公式の理由は「私的なトラブル」という、なんとも曖昧な説明。

逮捕の事実は一切公表されませんでした。

 

同年3月頃には一時的に配信を再開しようとする動きがあったものの、被害女性側から「連載停止と逮捕事実の公表」を強く求められて頓挫しています。

ところが編集部はこの要求を拒否し、隠蔽を続ける判断をしたようです。

被害者の声を無視してでも連載を守りたかった、ということなのでしょうか。

 

2021年5月から6月にかけては、被害女性・山本氏・担当編集者の成田卓哉氏による3者LINEグループで示談交渉が行われました。

ここで成田氏が提案したとされるのが「150万円の即払い+口外禁止+連載再開」というパッケージです。

つまり、お金を渡す代わりに黙っていてくれ、連載はそのまま続けさせてくれ、という話。

被害者側は「逮捕事実の公表」を条件にしましたが、これも拒否されて決裂しています。

 

2022年7月に被害女性が民事提訴、同年10月1日に堕天作戦の終了が発表され10月末に完結。

そしてわずか2ヶ月後、山本氏は「一路一」という別名義で常人仮面の原作を担当し、何食わぬ顔で新連載が始まりました。

この2ヶ月という期間が何を意味するか。

終了してから慌てて企画を立てたのではなく、終了させると同時に、あるいはそれ以前から「名前を変えて再出発させる」プランが動いていた。

そう考えなければ、このスケジュールは物理的に成立しません。

いわば、打ち切りに見せかけた「名前の着替え」だったのではないか。

そう疑われても仕方のない時系列だと思います。

②別名義「偽名」を使用した意図的隠蔽

漫画家がペンネームを変えること自体は珍しいことではありません。

心機一転で名前を変える作家はたくさんいますし、それ自体は誰にとがめられるものでもない。

でも、今回のケースは根本的に話が違います。

児童ポルノ法違反で罰金刑(略式起訴)を受け、しかも民事訴訟が進行中の人物を「別人」として読者や業界に紹介したわけです。

これはペンネーム変更なんて生やさしい話ではなく、事実上の「身元ロンダリング」と言っていいのではないでしょうか。

しかも公式声明で編集部自身が「2020年の逮捕時から把握していた」と認めています。

知った上で、あえて別名義を使わせた。

知った上で、読者にも作画担当にも伝えなかった。

これ、本気で「意図はなかった」と言い張れるものなのでしょうか。

 

実際、声明には「編集部が組織として関与する意図はありませんでした」という一文がありましたが、これがかえって炎上を加速させる結果になっています。

ネットでは「意図がなかった?じゃあなんで3者のLINEグループに編集者が入って口止めの金額まで提案してるの?」という声が噴出。

まあ、そりゃそうなりますよね。

別名義を使った目的は明白でしょう。

読者・作画担当・業界への事実秘匿。

逮捕の公表を避けて、デジタルアプリの収益を確保すること。

堕天作戦がWEBマンガ総選挙2019で3位入賞を果たすほどの人気作だったことを考えれば、「売れる作家を手放したくなかった」という動機は十分に成り立ちます。

 

ネットではこの一連の行為が「犯罪歴洗浄(Identity Laundering)」と呼ばれ、出版倫理の崩壊を象徴するケースとして語られるようになりました。

女性自身やORICONなど複数のメディアでも取り上げられており、業界全体への波及はもう避けられそうにありません。

③作画担当者への情報遮断と二次被害

この事件で最もやりきれないのは、作画を担当した鶴吉繪理氏の存在かもしれません。

鶴吉氏は2022年12月の連載開始から2026年2月の最終巻発売まで、約3年間にわたって原作者の過去を一切知らされないまま作画を担当してきました。

本人のX投稿では「とても、ショックだ………酷い、悲しい…」「過去の件は全く存じ上げておらず、突然の出来事」と明かしており、この投稿は閲覧数百万規模で拡散。

業界内外から同情と支援の声が殺到する事態になっています。

鶴吉氏本人がXで明かしたところによると、山本氏とは「マンガワン会合で一度会ったのみ」で、普段のやり取りはすべて担当編集の成田氏を経由していたそうです。

名義が違うことについても「事情があるのだろう」と受け止めていた、と。

まさか原作者が児童ポルノで罰金刑を受け、教え子への性加害で民事訴訟の渦中にあったなんて、想像もしていなかったのでしょう。

「作品は絵空事だからこそ現実で人を傷つける行為があってはならない」という鶴吉氏の言葉には、作品への真摯な姿勢と深い悲しみがにじんでいます。

 

冷静に振り返ると、鶴吉氏が被った実害は計り知れないものがあります。

 

まず精神的な苦痛。

3年間、犯罪者とは知らずに密接な共同作業を続けてきた。

「知らなかったからこそ全力で描けた」という見方もあるかもしれませんが、裏を返せば「知っていたら絶対に引き受けなかった」ということでもあります。

その選択肢すら奪われていたわけですから、これは相当こたえたのではないでしょうか。

 

次に経済的な損失。

連載中止によって印税や原稿料の継続的な収入が途絶えました。

最終巻は発売直後(1週間以内)に電子版が購入不可になっており、3年分の労働が突然はしごを外される形で終わったわけです。

作家にとって、これほど残酷な仕打ちはなかなかありません。

 

そしてキャリアへのダメージも無視できません。

「性犯罪者の原作作品を描いていた作画者」というイメージが、本人にまったく非がなくても名前にまとわりついてしまうリスクがある。

ヤングジャンプで『ブルーフォビア』の連載実績もある実力派だけに、こんな形で巻き込まれる理不尽さには本当に胸が痛みます。

特に見逃せないのは、編集部が鶴吉氏を結果的に「隠れ蓑」にしてしまった構図です。

別名義の原作者に、過去を知らない作画者をあてがう。

そうすれば、作画者のリアクションが「本当に知らなかった」ものになるので、外から見て不自然さが薄れる。

意図的にそこまで計算していたかは分かりませんが、結果としてそう機能してしまったのは紛れもない事実です。

 

マンガワン連載中の他の作家からも「強い失望」「大きな裏切り」「許せない」「契約解除検討」「小学館系列に連絡しないで」と声が上がり続けています。

元マンガワン作家の江野朱美氏はnoteで「編集部ぐるみの隠蔽」と批判しました。

鶴吉氏への救済と補償を求める声は日を追うごとに大きくなっており、小学館がこの問題をどう扱うかは業界全体が固唾を飲んで見守っているところです。

マンガワンの隠蔽に関与した当時の編集長は誰?

声明には「編集部として責任を重く受け止めております」「組織として関与する意図はありませんでした」と書かれていました。

この表現をよく読むと、絶妙に個人名を避けていることに気づきます。

成田卓哉氏の名前も、当時の上司の名前も出てこない。

「編集部」というぼんやりした主語で責任を認める形を取っているわけです。

これ、要するに「誰が悪いかは言いません」ということですよね。

では実際の意思決定ラインはどうだったのか、報道やnote、業界情報から追ってみます。

 

①当時の編集長と副編集長の体制

ネット上、特にYahoo!ニュースのコメント欄や考察系のnote記事で、成田氏と並んで繰り返し名前が挙がっている人物がいます。

和田裕樹氏。

事件当時、マンガワンの編集長を務めていたとされる人物です。

和田氏は2016年頃から2022年10月頃までマンガワンのトップにいたとされ、LinkedInなどの情報から確認されています。

コロコロコミックや少年サンデーの編集部を経てマンガワンに来たベテラン。

山本章一氏が2020年に罰金刑(略式起訴)を受けてから、2022年末に「一路一」名義で再起用されるまでの全期間、まさに編集長の椅子に座っていた人物ということになります。

 

つまり構図としてはこうです。

現場担当は成田卓哉氏、そしてその上に和田編集長がいた。

 

成田氏については、長期間フリーランス契約で働いていた可能性が指摘されています。

2023年頃に正社員登用されたとの話もあるのですが、長い間「社員ではないけど社内にいる」という、なんとも微妙な立場で動いていたようです。

フリーランスって聞くと自由なイメージがありますが、裏を返すと、何か問題が起きた時に会社側が「あの人が勝手にやったこと」と言いやすくなる構造でもあるんですよね。

この雇用形態の曖昧さが、隠蔽のハードルを下げた一因だった可能性は否定できないでしょう。

和田氏は現在、小学館ユニバーサルメディア事業局のプロデューサーに異動済みで、マンガワンの現場からはすでに離れています。

騒動直後にLinkedInのアカウントが削除されたとの報告もあり、ネットでは「責任を取らずに逃げた」「昇進して異動して知らん顔か」と批判が集まっている状況です。

②編集部内で共有されていた情報の範囲

声明で「確認体制に問題があった」と認めたということは、裏を返せば「確認すべき情報が社内にちゃんと存在していた」ことを暗に認めているとも読めます。

 

2020年の逮捕時点で編集部が事実を把握していたことは、声明自体が認めているとおりです。

2021年の3者LINEグループによる示談交渉には成田氏が参加しており、少なくとも複数の関係者が事件の詳細を知っていたことになります。

では、その情報はどこまで共有されていたのか。

 

編集会議で新連載の企画がプレゼンされる際、原作者の素性についての説明は当然あったはずです。

「一路一」という名義で出すなら、なぜ別名義なのかという説明も避けて通れない。

編集長がそこにノータッチだったとは、ちょっと考えにくいのではないでしょうか。

 

元マンガワン作家の江野朱美氏はnoteで「和田編集長が再び漫画での利益を与える判断を下した」と名指しで指摘しています。

この投稿がきっかけとなって、Yahoo!コメント欄やXでの「和田裕樹」の露出が一気に増えたという経緯もありました。

 

編集部内では「知っていたが伏せた」状態だったと見るのが自然でしょう。

成田氏が現場で動き、編集長以上が黙認あるいは承認する。

この連携がなければ、逮捕歴のある人物を別名義で再起用して、作画担当にすら伝えずに3年間連載を続けるなんて離れ業は、物理的に不可能だったと思います。

③誰が「別名義での続投」を最終決定したか

漫画の新連載を開始するには、編集長の承認が必須とされています。

企画書作成→編集会議でのプレゼン→編集長がGOサインを出す、というのが業界の標準的な流れ。

 

成田氏が現場で「山本氏を別名義で使いたい」と提案し、和田氏が承認した。

ネットではこの構図がほぼ定説として語られるようになっています。

 

しかも堕天作戦終了から常人仮面開始までがたった2ヶ月という異常なスピードを考えると、編集長レベルの承認だけでは済まない可能性も見えてきます。

さらに上の事業局長クラスが黙認していたのではないか、という推測もあながち的外れではないでしょう。

契約書の作成には法務のチェックも入るはずですし、逮捕歴のある人物を別名義で通すなら、通常のフローではどこかで引っかかるのが当然。

それがスルーされたということは、意図的に情報を伏せたか、上が承知の上で通したか、どちらかの話になってきます。

 

声明が「編集部として」という曖昧な主語を使い、個人名を一切出さなかった理由も、ここから透けて見えるように思えます。

成田氏一人に責任を押し付ければ「個人の暴走」で済ませられる。

しかし和田氏や上層部の名前が出てしまえば、「組織ぐるみの隠蔽」を認めることになる。

その線引きをぎりぎりで回避しようとしている。

そう感じるのは、きっと私だけではないはずです。

マンガワンの隠蔽が作画担当に与えた実害

最後に改めて整理しておきたいのが、この隠蔽が鶴吉繪理氏に何をもたらしたのかという問題です。

3年間という時間の重さ、知らされなかったことの理不尽さ、そしてこれからのキャリアに落とす影。

ここを見ずして、この事件の本質は語れないと思っています。

 

鶴吉繪理氏が常人仮面の作画を始めたのは2022年12月のこと。

そこから2026年2月の最終巻発売まで、約3年にわたって原作者の過去を一切知らされないまま、全力で作品と向き合ってきました。

 

精神的な打撃は、想像するだけでも胸が締めつけられます。

犯罪者と知らずに3年間タッグを組み続けた。

後から真実を知った時のショックは、どれほどのものだったでしょうか。

鶴吉氏は投稿の中で「作品は絵空事だからこそ現実で人を傷つける行為があってはならない」と書いており、その言葉からは自身の作品への真摯さと、裏切られた悲しみの深さが伝わってきます。

 

経済的な損失も深刻そのもの。

連載が突然中止になれば、印税や原稿料の継続的な収入は途絶えます。

最終巻は発売直後(1週間以内)に電子版が購入不可になっており、3年分の労働が突然はしごを外される形で終わりました。

作家にとって、これほど残酷な仕打ちはそうそうないでしょう。

 

キャリアへの影響も心配されるところです。

「性犯罪者の原作作品を描いていた作画者」というイメージが、本人にまったく非がなくても名前にまとわりついてしまうリスクがある。

ヤングジャンプで『ブルーフォビア』の連載実績もある実力派だけに、こんな形で巻き込まれる理不尽さには言葉もありません。

 

特に見逃せないのは、編集部が鶴吉氏を結果的に「隠れ蓑」にしてしまった構図

別名義の原作者に、過去を知らない作画者をあてがう。

そうすれば、作画者のリアクションが「本当に知らなかった」ものになるので、外から見て不自然さが薄れます。

意図的にそこまで計算していたかは分かりませんが、結果としてそう機能してしまったのは事実です。

2026年2月28日現在、作家陣の失望表明は連鎖を続けています。

伊勢ともか氏らから「強い失望」「大きな裏切り」との投稿が相次ぎ、マンガワン全体の信頼崩壊が深刻化しているのが現状です。

元マンガワン作家の江野朱美氏はnoteで「編集部ぐるみの隠蔽」と批判しました。

鶴吉氏への具体的な補償がどうなるのかは、小学館の誠意が本物かどうかを測る最大の物差しになるのかもしれません。

ここまで見てきて感じるのは、この問題が一人の編集者の暴走でも、一人の漫画家の犯罪でもないということです。

逮捕事実を知りながら別名義で再起用し、作画担当にすら事実を伏せ、被害者には口止めを持ちかけ、それが発覚しても約300文字の声明で済ませようとする。

この一連の流れを可能にしたのは、組織としての判断と、組織としての沈黙にほかなりません。

セクシー田中さん事件でも、漫画家・雷句誠氏の原稿紛失問題でも、指摘されてきたのは同じ体質でした。

何かが起きるたびに隠し、批判されたら最小限でしのぎ、核心にはぼかしを入れる。

その繰り返しが、ついにここまで来てしまった。

 

被害女性はDIDとPTSDを発症し、今も後遺症と闘い続けています。

鶴吉氏は何も知らないまま3年間描き続け、最終巻の発売直後に作品を奪われました。

読者はずっと応援してきた作品の裏側に性犯罪があったと知り、深い裏切りを感じています。

小学館がこの先、成田氏と和田氏への処分を公表するのか、鶴吉氏への具体的な補償を示すのか、再発防止策の中身をいつ提示するのか。

新しい情報が出てき次第、引き続き注視していきたいと思います。

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